過去生の記憶、夢
「それなら心配ない。木の実は奪ってしまったが、それは平等に皆に分けるためだ。ここ最近、ここの村人達の行動はあまりにも目に余る」
なんだかんだで貰うことになり、受けとった。
それからと言うもの村を歩いていると、度々侍達を連れてその村に彼がやってくるようになったんです。
すぐにお嫁さんになると言うのは怖いし、付き合ってもないのに何か違うと思ったため、躊躇っていると
その言葉と共に、何か髪飾りや櫛のようなものを貰い
私は少しの間泊まり込みする事になりました。
1日目の夜、村人と言うことで御屋敷の中で酷い扱いを受け、とても嫌われていました。
そういったものはそこまで気にせず、数日経った頃彼が眠っている私に近づいてきて私の名前を呼び、何度も口付けをしてくれていました。
愛されていると、深く感じ、とても幸せを感じていたのを覚えてます。
そしてそんなある日、御屋敷がやけに慌ただしく彼も朝から居ませんでした。
何か違和感と言うか、呼ばれている感覚がして御屋敷の中を歩いていると異様な空気を放つ御屋敷の1番奥の部屋に辿り着きました。
部屋へと戻る道を聞いても誰も答えてくれず、
廊下に立つ男性の1人が、「あそこの閉められた扉を開いて中へ、行けるぞ」と伝えてきたんです。
また、その奥の部屋まで歩き扉の前に立つ。
扉は紐できつく結ばれていたため、紐を手解き、扉を開けると、そこには見たこともないおぞましい者がうごめいていました。
儀式中なのか、ロウソクが幾つか立てられており、三方が幾つもおかれていました。
部屋に窓はなく、真っ暗でロウソクの光だけで中が少し見えている感じでした。
黒いうにょうにょとした何かが奥で動いているのが見え、私はそれに気づくとすぐに扉を閉めましたが、閉める直前に黒い何かに触れられてしまいました。
紐で扉を結ぼうとしてましたが、上手くいかず、
助けを求めても誰も見向きもしてくれません。
助けてくれるはずもなかったです、ずっと嫌われていたので。
泣き叫びながら紐を抑えていると、ふわりと誰かが私を包む感覚がしました。
発光するシルクのような柔らかい布に包まれた感覚がしているのに、そこには何も無く、何も見えませんでした。
ただ温かい感覚に私は彼だと分かりました。
彼は私に向かって微笑むと
「そこの廊下を左へと歩いて、突き当たりにある一番奥にある扉を開いて、そこからまた廊下を歩いて一番最後にある部屋で待っておいて」
私は彼に言われたその通りに少し歩き、
彼が心配で振り返ると、彼は優しく微笑んで頷く。
今まで助けもしてくれなかった皆は彼の方へ慌てて駆け寄って行っていました。
「ここで何をやられているのですか!そこから離れてください!」
との声が幾つも聞こえる
突き当たりにある扉を開けて廊下へと出ると、安心したからなのか、脚がガクガクと震えて立てなくなってしまいました。
怖かったと思い、泣いていると、後ろから、聞いたこともない怒鳴り声が聞こえたんです。
いつもは穏やかな彼の聞いた事のない怒鳴り声でした。
「お前らは何をやっている!?アイツを…アイツを!生け贄にしようとしていたのか!?」
そんな怒鳴り声でした。
聞いたこともない怒鳴り声が止んだと思ったら、急いでいるような足音が近づいてきました。
扉が開くと、彼の私の名前を呼ぶ声が聞こえ、
ぎゅっと包み込んでくれました。
「ここに居たのか…部屋へと入ってるのかと…大丈夫だったか、怖かっただろう」
その日から、彼は片時も私のそばを離れなくなりました。
逆に、何処へ行くにも私を連れるようになりました。
そんなある日、彼は仕立て屋に呼ばれているとの事で私を連れてそこへ行きました。
盗み聞きする気は無かったのですがお店の奥で話している彼と、店主の声が聞こえてきていました。
「あの村人をお屋敷へと招いたのですね」
その声に彼は頷き、それに続き店主は
「あの娘は美しい、神も喜ぶほどでしょう」
と言っているのが聞こえました。
その時に思い浮かんだのが、彼の顔と御屋敷のあの黒いモヤでした。
その瞬間に「あの黒いモヤも神様の類、だけど彼も神様なんだ」と言うのが分かったんです。
なんだかとても悪い感覚がして、私はすぐにお屋敷に戻りました。
お屋敷に戻ってその感覚に従い奥の部屋へと行くと、やはりまた黒いモヤが暴れていました。
あのモヤは私を狙うと思ったため、お屋敷に戻った事を後悔してすぐにお屋敷を出て、彼の元へと走っていたのですがその瞬間に目の前が真っ暗になりました。
ーー
ただ、目の前が真っ暗になったのですが夢から覚めた訳ではなくただ目の前が真っ暗になったんです。
夢の中で私は「あぁ、私はここで死んだんだな」と思ったのを覚えています。
死んだ、なんて感じる部分は一つも無かったのですが私は無意識にそれを感じ取っていました。
あまりにもリアルな夢で、不思議な感覚や感情を抱いた夢だったのですぐにメモ帳にメモしました。
その頃は、ただ不思議な夢だと言うことしか考えて居なかった私は数年後にその夢の意味を知ることになります。
夢で感じた自分なりの解釈などは次に書こうと思います。
では、また後ほど