キン~コン~カ~ン-((((♪

鳴る風の緋色がほっぺを撫でていきました。

*やや黄色のある鮮やかな深く濃い赤色、の意

 

その緋色は、赤のもつ情熱だろうか、それとも、冷静さだろうか。

 

いえいえ、どこか行く旅人さんでしょうか?

いえいえ、きっとあなたは、母も父も共に語り、一緒に遊んできた幼馴染さんでしょう。

きみは、ずっとずっと前から~、ぼくらの・わたしたちの・みーんなの、お友だちさん。

 

5時の音色までが、朱な彩りをただよわせています。

遠く、遠く彼方から、燃ゆる夕陽がふたりの顔を陽色に染めていた。

 

お空ぜんぶが光っていました。

雲もお顔を真っ紅にしていました。

お鼻まで真っ赤かに、・・・それは、日焼けでした。

 

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ふと、えなちゃんの足元にあるペットボトルの方にけんくんの目が行き、二分の一秒、とどまる。

 

届いた長く短い柔らかい、その空気を感じ取って、黙ってそっと手渡すえなちゃん。

 

相手に少しでも応えてあげたいとなる。

これが、恋の芽生えと気付くのはずっとズット先のことでした。

手渡した手までが朱色に染まりあがっていました。

 

「うめえー!カルピス・ウォーターっ!飽きないから好きだ!」

照れるように返すけんくんの腕も陽に萌え染まっていました。

 

けん「もう宿題やった?」

 

えな「将来なりたい人ってむずかして、どんな人になりたいか未だよく分からなくてー」

 

けん「パイロットになって世界中に行ってみたいんだー、うまく書けなくて・・・途中だけど・・・、えなちゃんはどんな人になりたいか適当に取り敢えず書いちゃえば?」

 

えな「ママは看護師さんになればって云うけど。けんくんって、たまに冗談なのかホントなのか分からなくなる・・・w」

 

けん「え?え?なんか云ったっけ?」

 

えな「もう嫌いだもんねーだーw」

 

けん「待て待て覚えてる。お嫁さんにするー!」

なーんだ、ささいな約束事は云った方より云われた方はしっかり覚えてるってことなんですねえ~。

 

えな「うん・・・」

 きれいな、なごやかな、表情に今まで一番、朱色な輝きが照り光る。

 

丘ごしに見下ろす街並みも、もうすっかり真っ赤に、宙に放りだした脚をブラブラしているふたりの脚もピンク色に。

 

お空の空気も、広くコバルト色と朱色のハーモニーを奏でてます。

辺り一面がみんな友だちなっていました。

等しく染め上がっていました。

 

小学校3年夏休の時のふたりだけの約束でした。ふたりだけの再約束となりました。

 

夕陽は一瞬で幕を閉じてしまう。

萌えた夕陽の感動は長く焼きつく。

 

「どうしてるかな?」

何度、口にした事だろう。

親の都合で引っ越し、会えなくなってもう何年経ったのだろう。

 

「今でも1人かな?彼氏は、いるのだろうか?いるよな。きっと、綺麗になってるはず、えなちゃんー」

 

「私のこと忘れてるよね。けんくん、どうしてるか一度見てみたいかも」

 

大股な男歩き、都会の雑踏を抜けると家路、もう真っ直ぐな一本道がつづくだけ。

 

夕陽映えした家々も木々たちも輝いていた。

見上げる空は、昔、ちっちゃい頃に見た夕映えに似ていた。

真っ紅なお空にも、家路へと急ぎものたち、オレンジ彩色な空を泳ぐ鳥ちゃんたちにも、きっと、待ってるヒトがいる。

 

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部屋に戻るや否や、とっさに、ずっと昔の文集を、そして、卒アルバムの住所を探しまわるけんくん。

 

あのころ、友だちを大切にしてて、よかったー♪

 

あったあー!

 

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どれ?どれ?プレゼント!プレゼントー!

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