Fighting Scots from Japan

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College of Woosterという小さなリベラルアーツカレッジでの生活。
Colleges that Change LivesやUS NEWSのランキングにも入り、国内ではちょっと有名。
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U.S. News & World Reportで例年、学部研究において特に優れた環境であると言われているThe College of Wooster。四年生は専攻に関わらず全員、一年間かけ教授と一対一で大学院レベルの研究を進め、人によっては百ページを超える論文を書き上げます。それが、卒論であるIndependent Study(以下I.S.)と呼ばれるもの。しかし現在二年生の筆者は、高校生の頃からI.S.がどんなものなのか具体的にイメージできませんでした。というわけで今回は、I.S.やウースターでの四年間について、卒業目前の先輩にインタビューする企画第二弾です!

第一弾:ウースターで将来の道を見つけた先輩が話す、リベラルアーツの2つの価値

 

今回インタビューした松崎 りえ先輩


海外経験:2-6歳シンガポール、8-9歳イギリス、9-12歳ポルトガル

専攻:神経生物学

出身:神戸

写真:I.S.を提出し、友達に囲まれお祝いしているところ

 

目次

  • ウースター、そして神経生物学までの道のり
  • うつ病を治したいという思いから、ストレスの研究へ
  • 遺伝子配列を見つける実験に苦戦
  • 少人数だからこそのアクティブな大学生活
  • ​​​​​卒業後は夢のヨーロッパで研究!
  • 感謝と挑戦で新しい道をひらく


ウースター、そして神経生物学までの道のり

まず、専攻は神経生物学とのことですが、どんなプロセスで専攻を決めたのか教えてください。

 

えーっと、高校生のとき、学部を決めて入るのが嫌だったから、日本の大学に行かなかったのね。でも大まかに、理系、特に脳系が好きだった。それで、大学の一年目に神経科学(脳科学)の入門クラスをとってみたら、やっぱり楽しくて!そのまま、神経科学を専攻しようって決めた。

 

シンプルですね。アメリカの大学を選んだ時は、ウースター一筋だったんですか?

 

いや、全然!確かcommon application(アメリカの大学に出願するサイト)で出願費が無料なのを見つけて、保険として受けた(笑)。

 

有名な州立大学にも受かったから、どっちに進学するか悩んだし。でも「教授との距離が近いよー」って在校生から聞いたのもあって、コミュニティーを重視してウースターを選んだ。

I.S.も決め手の一つで、友達に「私の行く大学、一対一で教授と研究できるんよー!」と自慢して回ったそう。

 

「うつ病を治したい」の思いで、ストレスの研究へ

知識ゼロの私でもわかるレベルで、I.S.の研究の概要を教えてください。

 

私は精神疾患、その中でも特にうつ病に興味があって。人生に喜怒哀楽があるのは、全然良いと思うの。でも、体の機能が正常に働かないせいで、楽しみを感じられないっていうのは不公平じゃない?だから、それを解決したい。

 

確かにそうですね。

 

でも、うつ病全体ってなると規模が大きすぎるんだよね。それで、うつ病が発生する理由の一つのストレスに注目することにした。

 

人間の体って色々なことに対して元に戻ろうとする力があるんだけど、ストレス多すぎるとかの理由でそのシステムが壊れると、ストレスを和らげられなくてうつ病になるの。

なるほど。具体的には、ストレスについてのどんな研究をしたんですか?

 

まず担当教授の専門の関係で、遺伝子学を絡ませることと、魚を使うことが前提だった。最終的に、ストレスを魚に与えたら、とある二つの遺伝子は少なく発現する、つまりスイッチがオフの状態になるという仮説を確かめたかな。

 

遺伝子って設計図みたいに並んでいて、同じものを持っていても、人や環境によって働いたり、働かなかったりするのね。そしてターゲットにした遺伝子は受容体の一種だから、それが働かなくなったらストレスを感知できなくて…

 

体がストレスに反応できないんですね。

 

そうそう。ただストレスが増える。

遺伝子配列を見つける実験に苦戦

では、どんな実験で仮説を確かめたんですか?

 

まず、自分が選んだ遺伝子を見つける前に、魚の遺伝子配列を調べる実験から始めた。

 

もう難しそうすぎる…(笑)

 

そうだね(笑)、七つとか実験しなきゃいけなかった。イメージとしては、遺伝子があって、洗濯バサミみたいなプライマーという道具で自分が欲しい部分を切り取って、コピーを作って。そしてそのコピーに色々して、遺伝子配列を見つけるって感じ。でも、欲しいものとは全然違うところの遺伝子配列が返ってきたりして、試行錯誤したなぁ。

 

それってどれくらいかかったんですか?

 

前学期まるまる。

 

一年のうちの半分が、準備にかかったんですね…。教授ってどれくらい手伝ってくれるんですか?

 

教授による。けど、私はめっちゃ恵まれていた方だと思う。夜十一時とかに実験が上手くいかなくて、建物も閉まっちゃうしどうしようって困った時も、電話したら「えーどうしたん?」って相談に乗ってくれて。

 

家族もいるのに、しかも夜中!そのおかげで、失敗してもいいから、とりあえず頑張ってみようって思えた。

 

何回も実験に失敗したら心折れますよね。

 

そう。予定もだいぶずれちゃっていたし。提出が三月の後半だから、バレンタインまでに研究室を出ようと思っていたのに、結局三月初旬くらいまで実験した。これで本当に最後にするから!って何回も教授を説得して(笑)

最後の実験でも予想通りの結果が出せなかったとき、教授が「たとえ欲しかった結果は出なくても、何かを証明したことに変わりはない」と励ましてくれたそう。

 

少人数だからこそのアクティブな大学生活

では、I.S.も含めて大学生活で一番楽しかったことを教えてください。

 

めっちゃざっくりだけど、卒業が近づくにつれウースターでよかったなって思う。

 

振り返った時に、少人数だからこそ私にもできたってことがすごく多いの。生徒会に入るとか、ラジオの番組を持つとか、演劇に参加するとか。

 

りえさんは四年生で、I.S.もあるのに、課外活動をたくさんしていますよね?

 

四年生の今は本当に好きなものだけに絞ったから、二年の時に立ち上げたフードクラブと、ボランティアのクラブと、あとは合唱隊だけだよ。

 

去年までは演劇もやっていたから、もっと忙しかった!6.3単位とか授業を取っていたから(普通の生徒は一学期に4単位なので1.5倍以上)、演劇に参加するかもすっごい悩んだ。もし自分の限界を超えちゃって、「もう無理全部やりたくない」ってなるくらいなら、やらないほうが良いじゃない?

 

でも結局…?(笑)

 

やることにした(笑)。やっぱり理系だと授業の他に実験とかもあって時間が取られるけど、でも情熱があれば時間はいくらでも作れると思う。四年の今も、やろうと思えば演劇に参加できたと思うし。

 

毎回、自分のキャパシティの限界まで何かをやっているから、活動的なイメージなんでしょうか。

 

でもイメージが一人歩きしていっていうのはあると思うよ? ふらりふらりしているからかな。いろんな人と喋って楽しい時間を過ごしたいから、特に固定の友達がいないんだよね。

 

疎遠になっていたり、一回会っただけの人でも、興味本位で「あ、ランチかディナー食べない?」って誘うし。

友達に「りえのこと知らない人、キャンパスにいないんじゃない?」と言われたこともあるそう。

​​​​​卒業後は夢のヨーロッパで研究!

では、大学卒業後の予定を教えてください。

 

ヨーロッパの修士課程のプログラムに二年間行くことになったの。神経化学の分野で精神疾患を学びます!もう、やりたいことドンピシャで、いまだに夢のように感じている。

 

就職する気は全くなかったんですか?

 

いや、めっちゃ悩んでて。本心としてはアメリカからは出たいって言うのがあってたけど、ビザとかも考えるとアメリカの方が現実的で。

 

大学院か就職かも決めていなかったから、ヨーロッパの大学院第一希望で、ヨーロッパ就職が二番目。それに続いてアメリカ大学院、アメリカ就職みたいな希望だったかな。本当にだから、この状況は奇跡。

 

第一希望ですもんね。

 

しかも、このプログラムとの出会いも運命的だったの!最初は、ドイツにあるウースターの留学協定校がやっている、神経科学の短期間プログラムを見つけて。でも、今年卒業する私も応募していいかわからなかったから、ベルリンの担当者に直接メールしたの。その時についでに、ヨーロッパの院に進学したいんだけれど、アドバイスがある?って聞いたのね。

 

ほら、日本にいるときにアメリカの大学選びをするのとも似ているけれど、ネットの情報しかなくて、しかも学校のホームページも「私たちの大学は最悪です」なんて言うわけないって考えると。

 

現地の人に、どこが有名とか、どこの評判が良いかを聞こうってなったんですね。

 

そうそう。私よりは絶対知っているし、現地の人ならリアルな意見でしょ。それで結局スカイプで話すことになって、いろいろ教えてもらったうちの一つが、今受かったプログラム。

 

それはすごい!

 

そう、本当に良かった。そこはちょっと、自分で行動したことに感謝。

感謝と挑戦で新しい道をひらく

じゃあ最後に、高校生へのコメントをお願いします。

 

えー難しいなぁ。んー、まず人との繋がりは大切だよね。

 

それに関して気をつけていることとかありますか?

 

小さな感謝も伝えるようにしているかな。例えば、大学院受かったっていうのでも、推薦者にはもちろん、過去に推薦を頼んだことある人。あとインタビューの日程調整をしてくれたどこかの大学のスタッフとかにも、受かりましたありがとうって報告メール送ったりとか。

 

進学先の大学院を見つけられたのも、ある意味人との繋がりを大事にしていたからですもんね。

 

そうそう。あとは、なんでも自分次第なのを忘れないことかな? 大学選びの時も、私は第一志望に落ちて、ウースターを選んだわけだし。自分の考え方次第で変わるから、自分の可能性を塞がないように。

 

実際に行ってみたら思ったよりも良かったり、やってみたらハマったりとかもありますからね。

あ、あと挑戦って意味では、インターンは将来を考えるにあたって大切かも。私、在学中にインターンを二回して。

 

両方研究系?

 

そう。二年の時にシカゴで免疫学の研究室を手伝って、三年の夏に神戸の理研でイメージングっていう分野をやった。

 

イメージングは大学院でも取り組むことだから経験が役に立つし、結局使わないけど、インターンを通して免疫学が面白いことにも気付けた。嫌いと決めないことはやっぱり大事だよね。

 

「とりあえずやってみる」がモットーなんですね。まぁ、もしつまらなかったとしても、それが好きじゃないとわかったことが収穫ですもんね。

 

うんうん。だからまず、嫌いだと決めつけずに、いろんなものにも挑戦して。それで最終的に、好きなものだけに上手く選んでいけばいいと思うよ。Don’t limit yourself!