うん。アイドルもそうだけれど、たくさんの人に感動を与えられる人になりたい。傷ついている人を癒すとか」真広は言葉を探しながら答えた。

「なんかマリア様みたいにお姉ちゃんって想いが深いのね」千佳は少し可笑しそうにいった。

「馬鹿な話ばかりしていないで、千佳もお姉ちゃんのように皆さまの模範になるような優等生になるのよ」祥子は千佳を戒めるようにいった。

「人に感動を与えること以外にはあとは花嫁さんかな?お母さんが勧めるお見合いで結婚して、形にハマっていくんだね。お姉ちゃんの場合は」千佳はつまんなさげにいった。

「そんなことないわ。自分の幸せは自分で掴むもの!」真広は千佳に反論した。

「お姉ちゃんにとって幸せって何?お金?見た目?かっこいい人とかさ。それともちやほやされること?愛されること?」千佳の抽象的な質問に対して真広は少し考え込むようにいった。

「幸せってたぶんタイミングじゃないかしら?」真広は突拍子のない答えに千佳は思わずくびを傾げた。

「タイミング?」

「何となく、時間って限られているからね。時間が重要なのよ」真広は考え込むようにいった。

「お姉ちゃんって変わっているわ」

「もたもたなんかしていららない。時間は有限なんだから」

「お姉ちゃん、流石、理系だわ。計算とか得意だもんね。私は計算とか全然苦手だもん」千佳はニコッと笑った。

「お金があっても、どんなに思っていても、タイミングが合わなかったらすれちがっていくだけよ。それほど、悲しくて、せつないことはこの世の中にはないのよ」真広は語りかけるように笑った。

「お姉ちゃん、天才!エクセレント!神だわ」

「すべてはタイミングなの。タイミングと距離が・・・んー、そうね、タイミングがすべてなの。でもどんなに人生が成功しても失敗しても最後は愛する人と一緒にいたら、失敗ではないと思うの。普遍的で永遠の誰しもが願う夢かもしれない」真広はそういって現実世界で目が覚めた。真広は何故か呼吸が乱れているのを感じた。

はぁー、はぁー。胸の動悸がいつもより早くて、胸がつまりそうだった。真広はデジタル時計をみると朝の5時を回っていた。

(何なの?タイミングと距離って何かわからないけれど、怖いわ)

真広は後ろを振り向いた。紛れもない誠一がぐっすり寝ていた。深々と寝ている寝顔をみて少し、安心した。

(タイミングと距離なんて関係ないわよ。あっー、怖かった)

真広は気をとり直してまた横になり、天井をみていた。

(でもよくよく考えてみたらこの世界はタイミングで出来ているような気がする。誠一と再会して、別れて、またこうやって復縁したことさえ・・・)真広はそんな風に思うと全てに偶然なんてないような気さえしてきた。

(すべてはタイミング・・・それがすべて・・・何で急にそんな夢をみたのだろう?)

                                                          ?それともフリーター?」千佳の問いかけに真広は少し戸惑った。

「まぁ、普通の人よ。バツ1だけれど」

「へぇ・・・。いいじゃない。バツ1・・・でもさ」

「だからお母さんに理解されないからタイミングをみていうわ。だから余計なこと言わないで。でもあんたにはちゃんと伝えなければと思ってね」

「ありがとう。私はどんな時でもお姉ちゃんの味方だよ。」



「ありがとう、私もよ」

「離れていてもお姉ちゃんを応援しているわ」

「ありがとう。あんたは私の唯一の理解者だね」真広はふいに泣きそうになった。

「お母さん、頼むね。じゃあ」

「じゃあ、またね」千佳が明るく別れを切り出すと真広は電話を切った。真広の脳裏に和解できぬ祥子の顔が再び浮かび、涙がこぼれ落ちそうになった。真広は、手で涙を拭うと気をとりなおして地下鉄の中に入っていった。

ん。アイドルもそうだけれど、たくさんの人に感動を与えられる人になりたい。傷ついている人を癒すとか」真広は言葉を探しながら答えた。

「なんかマリア様みたいにお姉ちゃんって想いが深いのね」千佳は少し可笑しそうにいった。

「馬鹿な話ばかりしていないで、千佳もお姉ちゃんのように皆さまの模範になるような優等生になるのよ」祥子は千佳を戒めるようにいった。

「人に感動を与えること以外にはあとは花嫁さんかな?お母さんが勧めるお見合いで結婚して、形にハマっていくんだね。お姉ちゃんの場合は」千佳はつまんなさげにいった。

「そんなことないわ。自分の幸せは自分で掴むもの!」真広は千佳に反論した。

「お姉ちゃんにとって幸せって何?お金?見た目?かっこいい人とかさ。それともちやほやされること?愛されること?」千佳の抽象的な質問に対して真広は少し考え込むようにいった。

「幸せってたぶんタイミングじゃないかしら?」真広は突拍子のない答えに千佳は思わずくびを傾げた。

「タイミング?」

「何となく、時間って限られているからね。時間が重要なのよ」真広は考え込むようにいった。

「お姉ちゃんって変わっているわ」

「もたもたなんかしていららない。時間は有限なんだから」

「お姉ちゃん、流石、理系だわ。計算とか得意だもんね。私は計算とか全然苦手だもん」千佳はニコッと笑った。

「どんなに思っていても、タイミングが合わなかったらすれちがっていくだけよ。それほど、悲しくて、せつないことはこの世の中にはないのよ」真広は語りかけるように笑った。

「お姉ちゃん、天才!エクセレント!神だわ」

「すべてはタイミングなの。タイミングと距離が・・・んー、そうね、タイミングがすべてなの。でもどんなに人生が成功しても失敗しても最後は愛する人と一緒にいたら、失敗ではないと思うの。普遍的で永遠の誰しもが願う夢かもしれない」真広はそういって現実世界で目が覚めた。真広は何故か呼吸が乱れているのを感じた。

はぁー、はぁー。胸の動悸がいつもより早くて、胸がつまりそうだった。真広はデジタル時計をみると朝の5時を回っていた。

(何なの?タイミングと距離って何かわからないけれど、怖いわ)

真広は後ろを振り向いた。紛れもない誠一がぐっすり寝ていた。深々と寝ている寝顔をみて少し、安心した。

(タイミングと距離なんて関係ないわよ。あっー、怖かった)

真広は気をとり直してまた横になり、天井をみていた。

(でもよくよく考えてみたらこの世界はタイミングで出来ているような気がする。誠一と再会して、別れて、またこうやって復縁したことさえ・・・)真広はそんな風に思うと全てに偶然なんてないような気さえしてきた。

(すべてはタイミング・・・それがすべて・・・何で急にそんな夢をみたのだろう?)


地下鉄の中で真広は今日は何故かとっても不思議な気分に包まれていた。今日に限って祥子の顔が浮かんでくる。千佳がいきなり電話がかけてきた、また祥子の顔が浮かんできて、祝福されぬ複雑な家族の顔が浮かんだ。

(お父さん、元気かな?駅で倒れて以来、音信不通だわ。全然連絡を取ってない。それにしてもお母さんは強烈だわ・・)真広はそんな風に考えていたらあっという間に家の最寄り駅についていた。

真広は最寄り駅につくとスーパーで軽く買いものを済ませ、帰路を歩いていると誠一からメールが飛んできた。

<もう帰ってきて、珍しく料理してる>誠一が料理している姿を思い描くだけで真広は思わず微笑ましい気持ちになった。

<あと10分くらいしたら戻るわ>真広はすぐに返信を返した。真広は早足にマンションに向かって歩いていると、駐輪場の近くに少年達がたむろしていた。思わずぎょっとした。真広は木陰に立って身を隠した。少年達が5~6人がたむろしている。よく見ると木をタワーのようにして、近くに灯油をばら撒いている。真広はびっくりした。

(今、この横を通り過ぎると危険だわ。やっぱりこの子たちか、犯人は)真広はふいに証拠を取らなきゃという使命感に駆られた。犯人はこの子たち。間違えない。真広はスマホを取り出し、木陰から少年たちが灯油をばら撒いている姿を写真を撮った。フラッシュをたいていなかったせいか真っ黒く写っていた。そして思いの他、シャッター音が大きいことに気がついたときは後の祭りだった。ひとりの少年が何気なく、後ろを振り返った。

「おい、誰か人がいるぞ」その一声で全員が振り返った。真広はびっくりして、その時、無我夢中で誠一に写真を添付してメールを送信した。

「今、何撮ったんだ?」少年のひとりは真広につかつか歩み寄ろうとしたとき、真広は全力でにげた。オートロックで暗証番号なんて打ち込んでいる暇もないからマンションの裏側に無我夢中で走った。途中でヒールが脱げて裸足になった。マンションの裏側なんて一度もいったこともなかった。小高いマンションの裏側を足が痛い思いをしながら真広はどんどん走った。

少年達、全員が真広に猛獣のごとくおいかけてきたけれど、真広は一心不乱に走った。小高いマンションのその先が崖であることも知らずに。気がつくと真広の足はどんどん下に急直下に落ちていくのを感じた。

「きゃあ~!」真広の叫び声が夜空に木霊した。


誠一はあと10分で帰ってくるといってもう30分も帰って来ないから心配して携帯をみると、メールが来ていた。メールを開くと文字はそこにはなく、真広から真っ黒な写メの添付画像が添えられていた。

(何なんだ?これ?からかっているのか?いつからこんな幼稚な感じになったんだろう?子供か?)そんなことを感じながらも誠一は真広の帰りを待ちわびた。誠一が窓の外を見るとポツポツと雨が降り出していた。

「・・・早く帰って来てよ」誠一は不安げな顔で外を見つめながらポツリと呟いた。