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アルコール病棟への入院三日目。この日は土曜日。

静かな土曜日の午後の時間が流れて、夕方になって、週末で外出していた先輩たちが、ばらばらと戻って来る。

我々新人は外出禁止なんで、病棟で留守番だ。

日中は、TVを観たり、持参の本を読んだり、備え付けの面白くもない図書をぱらぱらと見たり、新人同士で無駄話をして過ごす。

食堂を兼ねるデイルームで、いつも僕の目に前の席に座っておられる中村さんは、外出から戻ってくると、

「ココ(精神病院のアルコール病棟)のペースに慣れると、娑婆のスピードは早すぎて早すぎて(笑)」

とのこと。

確かに、この病棟には、他の病院のような陰気さ?もないし、なんか、こう、セミナー会場というか、コンミューンというか、なんだかそんな独特の雰囲気がありますな。

ゆっくりとした時間が流れている、と、言うか、時間が止まったようだ、と、言うか・・・。

アルコール病棟の入院は、長くても三ヶ月満期ではあるが、隣の精神病棟には、もう自分でも覚えてないくらいの長い時間入院されている患者もおられるとのこと。

そんな場合は、ほんまに時間が止まっている感じなんやろうか?

アルコール病棟だって、流れる時間はとてもゆったりとしたものだ。皆、親切だし。

お酒の入ってないアルコール依存症者は、一部の例外を除いて、皆大人しく優しい。

そんな中、初めて「喧嘩」を見る。

煙草部屋と呼ばれる喫煙室で喧嘩。と、言っても、口論ではあるが。

「おお。いよいよ、あれか?離脱症が出て、妄想や幻聴からの喧嘩か?」と、不謹慎ながら、そう、「見たかってん!」と、俄に興奮するが・・・

・・・後から聞いたら、自治会の役員同士の口喧嘩で、すぐに収まったらしい。

コンミューンにも、やっぱり嫌な奴もいるみたいだ。

本当に他人事ではありるのだが、折角、精神病院に入院した?んだから、そういう、離脱症(所謂、「禁断症状」というやつである)の派手なやつを見てみたい、と、そう思っていたのは事実。

いやはや。なんとも、自分勝手で悪趣味な患者であることよ。

あ。

自治会の役員、というのは、三ヶ月サイクルで選出される制度があり、選ばれた四人(だったか、五人だったか、六人だったか)で、病院内の決めごとや患者組織の運営をする人たちのこと。

もちろん、それもやっぱり治療の一環である。

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