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アルコール依存症者が飲む薬があります。
ただ、それはアルコール依存症を治す薬ではありません。
お酒を嫌いにする薬でもありません。
ひとつはシアナマイド、ノックビンの、抗酒剤。嫌酒薬とも呼ぶようです。
そしてもうひとつは、レグテクト。渇望抑制剤。断酒補助薬との呼び方もあるようです。
抗酒剤は、何も本当にお酒が嫌いになるワケではありません。
その薬を服用することで、肝臓のアルコール分解能力を極端に低下させ、少しのアルコールを摂取してももの凄い悪酔い状態になるような身体にする薬です。
一度、抗酒剤を飲んでしまえば、その後に飲酒するとエライ目にあう(悶絶の苦しみを味わうことになります)ため、飲酒を断念するという、そんな薬です。
当然ですが、実際、抗酒剤を飲んで飲酒することが推奨されるワケではなく(そんなことをすれば、場合によっては命に関わる事態にもなりかねません)、あくまでも、飲酒を思いとどまるためのお守りのようなものです。
一方の渇望抑制剤の方は、一応、お酒を飲みたいという欲求を押さえることができるお薬です。
ただし、その効果は万全なもの、というワケではなく、精神療法をメインとし、その補助としての効果があるようなものと言える薬です。
どちらの薬にしても、
それを飲めばお酒を止めることができる
という、そんな夢のような薬ではありません。
ただ、以前は、抗酒剤以外の薬物療法はなく、最終的には本人の『断酒の意思』以外に断酒に繋がるものはない、という、そういう状況でした。
今も、本人の自覚がない場合に、アルコール依存症者を断酒させる方法はないのではありますが、渇望抑制剤が一定の補助になっているのは確かなようです。
とは言え、薬があれば断酒できるものではありませんし、薬がないと断酒できないというものでもありません。
この病気の治療に関しては、薬はあくまで補助的なものである、と、そう感じます。
そういう意味では、抗酒剤にしても、渇望抑制剤にしても、それは補助的なもので、アルコール依存症からの回復のおりに、しばしば服用することがある、例えば、「睡眠剤」、あるいは「精神安定剤」などと同様のものであると、そう言えるかも知れないですね。
最終的には、断酒の為に必要なのは、僕が思うには、
心構え
なんだろうなあ、と、そう考えています。
勿論、鉄の意思が必要、などという意味ではなく、そして、鉄の意思で断酒ができるなどとも思えるものではなく、少なくとも僕の場合で言うと、その心構えは、ある種、
「諦め」
に似た気持ちから来るものかも知れません。
あるいは、
「納得」
という感覚から来るものかも知れません。今の僕は、
「コントロールして上手く飲みたいというチャレンジ精神」を「諦め」ており、
同時に、
「もう自分はお酒を上手く飲むことはできない人間である事実」に「納得」している、と、そういうワケです。
その「諦め」と「納得」から来る気持ちが、今の、この、
「お酒を飲みたいと思わない」
そんな状態をもたらしている、と、そういうことに繋がっているんだと、そう思っています。
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