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僕は、一度膵炎で入院し、約十日程で、一旦小康状態を得て退院した病院に、もう一度、
「膵炎を少しおさめてもらって退院しましたが、どうにもこうにもお酒が止まりません」
「お酒を止めるためにも、もう一度入院させてもらえませんか?」
と電話でお願いして、再度、身体の補修とアルコール依存症の克服のために入院することとしました。
毎日、点滴治療を受けつつも、日中には入院している病院から外出して、二駅程離れた有名なアルコール外来に通院する。そんな入院生活が始まりました。
朝一番には、入院している循環器系の病棟で、抗酒剤であるシアナマイドという薬を服用します。
シアナマイドは、ちょっとラテン語(ローマ字)ふうに読んで、シアナミドとも言いますが、商品名が「シアナマイド」で、それが瓶に大きく書いてあるので、一般には、
「シアナマイド」、あるいは、略して、「シアナ」
などと呼ばれています。
残念ながら、お酒を飲みたくなくなる、などという夢のようなお薬ではありません。
抗酒剤というのは、肝臓におけるアルコール代謝を阻害するという、ちょっと変わったお薬です。
お薬ではあるのですが、身体に良い作用を現すことはなく、肝臓の機能を制限し、アセトアルデヒドを体内に蓄積させ、ちょっとの飲酒でも酷い悪酔いを引き起こすという、そんな薬です。
これはよく聞くお話ですが、シアナマイドは、もともとは肥料として製造されていたものだそうです。
ある日、肥料工場の従業員、そのシアナマイドを扱う工員が、極端にお酒に弱くなる、すぐに悪酔いすることから、抗酒剤としての効用が発見されたんだそうです。
シアナマイドの効果はてきめん!で、朝、規定量のシアナマイドを服用していると、その日一日は、ほんの一口のお酒であっても、アルコールを口にすると、酷い悪酔いに苦しむことになります。
そのため、シアナマイドを服用すると、
「(少なくとも)今日は、もうお酒の飲めない身体である」
との認識から、お酒を遠ざける、そんな効用を求めて服用するお薬であると、そういうワケです。
実際、シアナマイドを服用していると、奈良漬を食べただけでも、そう、その程度のアルコール分でも、とんでもない悪酔い状態になる、と、そう言われています。
映画になった、鴨志田穣の「酔いがさめたらうちに帰ろう」(http://www.yoisame.jp/
)でも、抗酒剤を服用して奈良漬を食べて、悪酔いでぶっ倒れるシーンがありましたよね。
(あれは、もう一種類の方の抗酒剤である「ノックビン」であったかも知れませんが)
ただし、アルコール依存症者の飲酒欲求というのは、一筋縄ではいきません。苦笑。
実際、僕も、入院中の病院で朝にシアナマイドを服用して、日中、通院するアルコール外来に向かう途中、自分の飲酒欲求に、どうしても抗えず、駅で缶チューハイを飲んでしまい、駅のベンチでぶっ倒れて地獄の苦しみ経験したことがありました。
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