さて、僕は、その新しい職場で、上司から、

「専門家のさぶろう君は、毎日自由に動いてくれて結構。どんどん新しい情報を仕入れて来てくれ」

と言われ、『営業職』でもない、内勤の企画職ながら、行動の自由、時間管理の自由を手に入れることとなりました。

その頃の僕は、もうアルコール依存症が極度に進行していた状態でした。

毎日朝からお酒を飲み、日中も一時間か三十分おきには身体にアルコールを補給しないと居られない、そんな体調。

オフィスに居る時は、それこそ三十分おきに席を離れて、近くのコンビニや自動販売機に行っては隠れ酒をする毎日でした。

そんな僕が、行動の自由、を手に入れたものだから・・・朝一番でオフィスに顔を出した、そう、もう朝から結構な量の飲酒をして、若干赤くなった顔を出した後は、

「いってきま~す」

と言い残して、そっからは、ずっと酒浸りの時間を過ごすことになります。

先ずは駅に向かって歩く道すがら、コンビニで買った缶チューハイを飲み干します。

その後は、アルコール片手に都内をぶらぶら。

かなりお酒が回ったな、と、そう思ったら、公園のベンチなんぞで、ちょっとお昼ね。

日中、そんな感じで時間を過ごしたら、夕方にうどんでも食べて(あ。お酒の飲み過ぎで内蔵も随分と疲弊しているものだから、うどんなどの優しいものしか受付ません。うどんを食べると言っても、まあ大概はうどんは1、2本すするだけで、胃にお汁を流し込んでアルコールを薄めるのが目的でした)、ちょっと酔いを醒ましてオフィスに帰ります。

「ただいま~~~」
「はあ、しんどかった。でも、結構有意義な話できたわ」

とかなんとか、聞かれもしないのに、独り言で、「今日も関係各所を回って打ち合せなどをして来ました」的なアリバイ作りをします。

信じられないことに、その会社での僕の勤務は、それでも十分評価?されていたりしました。

時々、メンバーを集めて、社内で勉強会なんかを開いて、さも「僕は情報集種をしている」ふうに装う、そんな工作は忘れずにするところが、これまたずるいと言うか、汚いやり口でした。笑

週に2、3日は、社外打ち合せと称して、お酒片手の都内観光の日々。

そして残りの1、2日程は、社内勉強会。

勉強会っても、メンバー全員初心者なんで、僕はこれまでの業務知識を小出しに話すだけ。

勉強会が終わると、さも大袈裟に、

「はあ、今日は根詰めてお話して、ちょっと疲れたなあ。今日は定時で失礼して、明日に備えます」

とかなんとか言って、早々にオフィスを出て、やっぱりコンビニでお酒を買って家路を急ぎます。

残りの一日は、大抵、日帰り出張。

もちろん出張先でも、まめにお酒の補給は欠かせません。

そんな感じの一週間を続けていたものだから、アルコールでやられた身体が悲鳴を上げるのにそれほど時間はかかりませんでした。