本連載の第1回では、「高齢者がいなくなった日本」という思考実験を通じ、国内の構造的問題のほぼすべてが「行き過ぎた高齢者優遇」に集約されていることを指摘した。

 

もちろん、高齢者を物理的に消去することなど不可能であり、あってはならない。

だからこそ、第2回、第3回では現実的な解決策として「社会保障改革」を論じ、コスト削減こそが現役世代の再生に直結すると説いてきた。

 

 

今回はその番外編として、世間で議論が絶えない「消費税」へのスタンスを整理する。

結論から言えば、私は「消費税増税・社会保険料撤廃」こそが、現役世代が取るべき唯一の生存戦略であると確信している。

消費税減税は、実質的な「老人優遇」である

選挙のたびに叫ばれる「消費税減税」は、実は巧妙に隠された老人優遇策だ。

すでに指摘したが、国家予算の最大支出は社会保障(老人福祉)である。

社会保障費を削らずに消費税を減税すれば、その穴埋めは所得税や社会保険料、つまり「労働者への課税」で賄うしかなくなる。

 

全世代が薄く負担する消費税をカットし、労働者だけにツケを回す。

「消費税が減って嬉しい」という気持ちはわかるが、結局労働者が足りない分の穴埋めをするのである。そして高齢者はほとんど所得税や住民税とは無縁なので、消費税減税でさらに負担が減るのだ。

 

これが現役世代にとっての「罠」でなくて何であろうか。

 

さらに問題なのは、高齢者の「痛税感」の欠如だ。

現在、病院をサロン代わりに利用し、不要な湿布を大量に受け取るような医療資源の浪費が絶えないのは、彼らに「負担に伴う痛みやコスト意識」がないからだ。消費税すら減税すれば、彼らのコスト意識はさらに麻痺し、現役世代の血税を食い潰すモラルハザードを助長する。

 

私は、消費税減税には断固反対だ。

消費税の圧倒的な「税源捕捉能力」

消費税を評価すべき最大の理由は、その凄まじい「税源捕捉能力」にある。 所得税や社会保険料は、正規の労働からしか徴収できない。しかし消費税は、経済の「影」からも確実に税を回収する。

 

例えば、歌舞伎町で立ちんぼとして稼ぐ女性が、その金をホストクラブで消費すれば、彼女が所得税を逃れていようとも、消費の現場で確実に税が国庫に入る。

あるいは日本で活動する外国人や、裏社会で得た金で贅沢品を購入するヤクザであっても、日本で消費活動を行う限り、納税から逃れることは不可能だ。

 

桐生一馬も、こんなイカつい見た目してしっかり消費税を払っているのである。

 

この網羅性こそが、不公平を是正する最強のツールなのである。

「社会保険料0%・消費税30%以上」への大転換

よって現役世代は、「社会保険料を0%にする代わりに、消費税を増税せよ」と主張するべきだ。

 

現在、労使折半を含めた社会保険料の負担率は約30%に達している。

これが0%になれば、現役世代の手取り額は劇的に増える。仮に消費税が30%〜40%に上がったとしても、現役世代にとっては「稼いだ金を何に使うか」という選択権が生まれる。消費を控え、投資に回す分には消費税はかからない。つまり、現役世代にとっては実質的な減税効果すら期待できるのだ。

 

もちろん消費してもかまわない。それだとしても、給与から社会保険料として30%ピンハネされていた分がごっそり消え、それが消費税に付け変わっただけなので、実質負担は変わらないのである。

 

一方、高度経済成長期やバブル時代を生き抜き、莫大な金融資産を抱え込んでいる高齢者層にとっては、このシステムこそが応分の負担を強いる唯一の方法となる。

彼らは払った保険料よりはるかに高額な(平均して数千万円得している計算だ)社会保障サービスを受けている。

 

すでに別の記事で指摘したが、日本のボーナス期を生きた人間が、オーナス期に労働者をやっている下の世代からピンハネして平均して数千万円トクしている状態は、論理的にも倫理的にも破綻している。

 

彼らの莫大な金融資産をを社会保障の財源へと還流させるには、消費税が最も公平な解決策の一つになるのだ。

想定される反論への回答

こうした主張に対し、感情論に基づいた反論が予想されるが、一応それらに対してもコメントしておく。

1. 「消費税増税は景気を冷え込ませる」という主張

2026年現在の日本は、明確にインフレ局面にあり物価が高騰している。

過熱したマーケットを鎮静化させるために、増税で需要を抑制するのはセオリーだ。需要を適正に冷やすことで価格高騰を抑え、市場を安定させるのが定石である。

 

逆に、今「消費税減税」で需要を喚起すれば、インフレを加速させ、現役世代の生活をさらに破壊するだろう。

 

消費税減税派が「消費税こそが、日本をダメにした最大の理由!!!!」と発狂しているシーンを頻繁にTwitterで観測するが、実は一理あって、長いデフレの時代だった平成JAPANにおいて、繰り返し消費増税したのは 経済学的にはセオリーに反する悪手だったのだ。

2. 「高齢者の消費が日本経済を支えている」という幻想

「消費増税したら、日本の経済を支えている高齢者が買い控えして消費が冷え込む!!!!」

といった小賢しい反論がくることもあるが、これも誤りだ。

 

本来、合理的な消費行動とは、死ぬ瞬間に資産がゼロになるよう調整されるべきものだ。経済学では、このような消費行動をそのままズバリ「合理的消費」という。

問題なのは、現在の高齢者は現役世代から賦課方式でピンハネした金を使い切ることなく死んでいくという点だ。

 

下の世代の方が明らかに消費意欲が旺盛なのだが、そんな彼らからピンハネして、しかも使い切ることなく死んでいくのである。

言い方厳しいが、高齢者は消費の観点でも明確にロスなのである。そんな彼らが一体全体どのようにして日本経済の消費を支えるのであろうか。

 

増税したから消費しなくなるのではなく、最初から消費しない。そんな彼らでも食べないと生きていけないので、消費税を増税すればしっかりと回収できるのだ。

 

またしても第一回の記事「悪魔の思考実験」を正当化する補強材料を投下してしまった。

 

「地獄の沙汰も金次第」というが、「天国に金は持っていけない」とも言う。

高齢者におかれましては、恐れず怯まず、バンバン消費してほしいものだ。

3. 「消費税の逆進性が弱者を苦しめる」という欺瞞

「比率」で見れば逆進的に見えるかもしれないが、絶対的な納税額は富裕層の方が圧倒的に多い。実際消費税は「やや累進的」だ。

当然、金持ちは高いものや嗜好品を多く購入するからである。

 

 低所得の現役世代が真に苦しんでいるのは、消費税よりも、逃げ道のない「社会保険料」という名の罰金だ。消費は節約でコントロール可能だが、労働への課税は回避不能である。

どちらが真に残酷な税制かは、計算すれば一目瞭然である。

 

ただし、子育てしている若いカップルやシングルマザーに

「金がないなら、畑でも耕してこいw」

と言うのはあまりにも残酷だ。

 

だからこそ、140兆円規模の社会保障を改革し「未来のある下の世代のため」に投下するべきなのだ。

衆院選における選択肢:「チームみらい」への注目

目前の衆議院選挙において、私が注目しているのは安野貴博氏率いる「チームみらい」である。

2024年の東京都知事選に突如現れ、分厚い政策集を提げ街頭にたった彼は、いまや国政政党の党首になった。

 

彼らは「社会保険料の軽減」を掲げつつ、安易な「消費税減税」には慎重な姿勢を崩さない。負担の構造を組み替えることで現役世代の手取りを最大化しようとする彼らの姿勢は、私のスタンスに極めて近い。

比例代表での選択肢として、十分に視野に入れるべき政党である。

結びに代えて:国民民主党への懐疑

最後に、巷で「現役世代の味方」を自称する国民民主党について触れておこう。

彼らの掲げる「手取りを増やす」というスローガンに私も最初騙されたが、明確に「高齢者優遇」である。

 

他の政策も読んでいくと、徐々に「あれあれ???」となってくる。

その「バグ」については、次回の記事で徹底的に解剖したい。

 

前回の参院選も入れなかったが、私は少なくとも今回も国民民主党には投票しない。