2024年10月の衆議院選挙。
「手取りを増やす」「現役世代のための政治」という鮮烈なキャッチフレーズで旋風を巻き起こした国民民主党。当時、彼らが掲げた「103万円の壁」の突破というスローガンに、多くの現役世代が「ようやく自分たちのための政治が始まる」と胸を躍らせたはずだ。
実は、私はそれ以前から彼らに注目していた。
2022年7月、シェアハウスでの生活中に新型コロナウイルスに罹患し、浅草にある隔離物件へ飛ばされた時期があった。あまりの退屈さにYouTubeを眺めていた際、目に入ったのが「日経テレ東大学」の動画だった。
成田悠輔氏やひろゆき氏と対等に渡り合い、理性的かつ経済政策や国防安全保障に関しても極めて深い見識を持っていると理解し、極めて優秀に見えた玉木雄一郎氏(いや、実際に超優秀だ)。
当時国民民主党の支持率は驚異の1%前後だったのだが、そんな彼らが「現役世代のための政党」と言って私の前に再度現れ、彼らを一縷の希望として信じてしまったのだ。
私は以前から別の記事で主張してきた。「日本の構造的問題のほぼすべては、行き過ぎた老人優遇に集約される」と。
当時玉木雄一郎は、公共の電波で「終末医療にも切り込みます」と宣言し、国民民主党ならなんとかしてくれるかもしれないと密かに喜んだものだ。
現役世代のための政党を自称するなら、たとえ高齢者に嫌われようとも社会保障改革に本気で取り組むべきだ。
現役世代のための政党と称する国民民主党が、本当にこの「本丸」に斬り込むのか。期待して観察を続けてきたが、その後の彼らの振る舞いを見て、私の中に拭い去れない疑念が生じた。
...というか、当時彼らが看板制作に掲げていた「103万円の壁」に対しても、拭いきれない疑念のオンパレードだ。
結論から言おう。国民民主党は、現役世代の味方などではない。
「無税老人」の増殖装置としての103万円の壁
まず、読者に最も知っておいてほしい不都合な真実を提示する。 彼らが看板政策として掲げる「基礎控除の引き上げ」は、実は凄まじい「老人優遇装置」として機能する。
日本の税制には、高齢者限定の特権である「公的年金等控除(最低110万円)」が存在する。
この事実を当時知らず、国民民主党が主張している103万円の壁引き上げを素直に賛成してしまった。
ここで、現役世代と高齢者の控除の違いを見てみよう。
- 現役世代:基礎控除(48万円)+給与所得控除(55万円)=103万円
- 高齢者 : 基礎控除(48万円)+年金控除(最低110万円) = 最低158万円
2026年の税制改正で基礎控除を56万円UPし104万円にしたっぽいので(ChroMeによるリサーチ)、その結果どうなったかと言うと
- 現役世代:基礎控除(104万円)+給与所得控除(最大74万円) = 最大178万円
- 高齢者 : 基礎控除(104万円)+年金控除(最低110万円) = 最低214万円
年金控除の欺瞞
この政策には約7〜8兆円規模の財源が必要とされるが、当時玉木氏は「財源を考えるのは政権与党(自民党)の仕事だ」と放言した。この無責任な姿勢こそが、彼らが「改革者」ではなく「ポピュリスト」である証拠だ。
基礎控除を物価に合わせて調整する「標準控除(Standard Reduction)」の考え方自体は適切だ。
しかし、もし真に責任持った政策提案をするなら、財源もセットで国民民主党は提案するべきだ。
なぜかれらは「公的年金等控除」の廃止をセットで提案しなかったのか。
年金控除は税制として「二重に控除が受けられるおかしい税制(ようは老人特権)」である。
現役時代に保険料を払う際にも非課税(社会保険料控除)、もらう際にも非課税(年金控除)という「二重構造」が存在し、現役世代にはそんなものないので、明確に老人優遇だ。
この特権を廃止するだけで約11兆円の財源が生まれる。この「バグ」を修正し、その浮いた財源ですべての世代の基礎控除を引き上げるというのなら、私は喜んで彼らを支持しただろう。だが、彼らはその「痛みを伴う正論」からは逃げ出したのだ。
社会保障改革への「後ろ向き」な変節
私は、社会保障改革こそが唯一の救いだと信じている。
2024年の衆院選当時、玉木氏は「終末期医療」というタブーに触れ、改革への意欲を見せていた。しかし、いざ「老人に負担をさせる」具体的な話が出た途端、彼らのトーンは急激にダウンした。
改革を叫びながら、票田である高齢者が不快感を示した瞬間に沈黙する。
玉木さんの選挙区は香川なので、そんなこと声高に言えないのか?という気もしなくもないが、そんなの知らん。
この一貫性のなさを目の当たりにし、私は「彼らもまた、シルバー民主主義に屈した旧態依然とした政治家の一人に過ぎない」という疑念を確信に変えた。
全方位への「お気持ちバラマキ」と、社会主義への回帰
さらに、直近の彼らの政策は目も当てられない「バラマキ」のオンパレードだ。
-
改革を伴わない、老人福祉代ばら撒きの強化
訪問介護員の報酬引き上げを声高に主張しているが、もちろん負担は他人の現役世代だ。どう考えたって訪問介護なんて効率の悪いことにお金を投じるより、高齢者を一か所に集約して業務の合理化を図るべきだが、結局彼らが選んだのは「高齢者のために、もっと(下の世代が)お金を負担しよう!」だった。アホか。
-
高齢者へのエアコン代バラマキへの賛成
東京都議会の国民民主党は、資産を持つ高齢者への「エアコン代8万円」助成に賛成した。もちろん、支払いは私たち東京都民が働いて収めた都民税だ。アホか。
-
パフォーマンスとしてのジェンダー・バラマキ
女性活躍系の政策は相変わらず嫌な予感がするが、案の定だった。女性活躍と称して、男性管理職に電流を流して「生理の痛みを体験してもらおう😃」という政策(?)に、東京都議会の国民民主党は賛成した。まさかの「電流で肉体的苦痛を与えて言論統制」という凄まじい政策(?)に驚きを隠せないんですが、本当に東京都大丈夫ですか???
もちろん、これ系の事業(?)をやっているNPOにお金が流れるばら撒きである。男性も女性も、どっちも大変だって。お互いの苦労を労って思い遣ろうよ。
この手の「政府が配分します!」系の政策が全くうまくいかない理由は、そもそも政府が「効率的な配分」などできるわけがないという一点に集約される。
需要と供給に基づく価格決定こそが適切な配分を生むのであり、人間が恣意的に「これを配る、あれを支援する」と決めるのは、非効率の極みだ。 全方位に配慮し始めれば、国家の財源は瞬時に枯渇する。だったら、無駄にばら撒きしないで、歳出改革&減税でスリム化して、あとは勝手に市場に任せて欲しい。
政府が配分します!という社会主義を選んだ北朝鮮と、自由に取引して市場によって価格が決定される資本主義を選んだ韓国の航空写真。
「社会主義は発展性がなく、配分する政府に権力が集中して腐敗する」なんてのは社会科の教科書で何回登場するお馴染みのシーンなんですが、玉木さんはマジでこれをやろうとしてるんですかね...
結び:国民民主党は「現役世代向け」ではない
国民民主党は、現役世代の怒りを巧妙に利用して支持を得たが、その中身は「全方位バラマキ」と「不当な高齢者特権の温存」に過ぎない。彼らが掲げる「手取りを増やす」という甘い言葉の裏には、さらなる重荷を現役世代にツケ回す「設計ミス」が隠されている。
玉木さん頭いいんだから「社会主義政策は絶対うまくいかない」「103万円の壁突破は現役世代のための政策とは言い難い」な〜〜んてことはとっくに気付いていると思うんですよね。
にも関わらず隠しているなら、悪質としか言いようがない。
私は、少なくとも今回も国民民主党には投票しない。
ありがとう。そしてさようなら。









