おはようございます。
今日は、私の自己紹介をあらためていたしますね。
私は、高瀬晴子と申します。現在は接遇研修、ホスピタリティ研修、ビジネスマナー&コミュニケーション研修などを実施する講師の仕事をしています。
社会人としては、日本航空で12年間、国際線の客室乗務員として、乗務していました。仕事に対する姿勢、お客様に対する姿勢は、この仕事を通じて培っていきました。
様々なお客様との出会いが、私を育ててくれました。
その中でも、印象的な出来事をひとつ、今日はお話しますね。
ある時、サンフランシスコからの帰国便で、ファーストクラスを担当していた時のことです。
あるお客様のご様子を皆で心配していました。
そのお客様は、ヘッドホンをあてられて、ずっと、何か歌を歌っていらっしゃいました。食事サービスの時にも、お箸を持つ手を止められ、歌を歌われるか、ただ黙って何か考えごとをされているか。他のお客様はデザートまで召し上がっている頃にも、前菜も殆ど召し上がっていらっしゃらないのです。
私は、そのお客様の近くをゆっくり歩いてみました。すると、そのお客様は、ふとこちらを見て下さったので、そのタイミングで、
「お食事、お済みでいらっしゃいますか?それとも、後になさいますか?」
とお声かけしました。すると、そのお客様は、思い出した様にお箸を手に取られ、召し上がり始めるのですが、すぐにまた、手は止まり、また空中をじっと見つめ始められる。。その様なご様子でした。
私は、フライト中、そのお客様のご様子に気を配り続け、失礼のない範囲で、お飲み物や雑誌などのお声かけをしたりしていきました。うまく表現できないのですが、何かお辛そうに感じたからです。
成田到着の少し前に、そのお客様が、私に話しかけて下さいました。
「実はね、母が危篤で駆けつけているんです。もしかしたら、間に合わないかもしれない。そう思うと、居てもたってもいられない気持ちで、気を紛らわそうと、ずっと音楽を聴いていたのですが、やはり、だめでした。でも、あなたや、皆さんの笑顔や、さりげない気配りが、私の心に本当に響きました。少し気持ちが楽になりました。本当に、どうもありがとう」
と。
その方は、音楽を聴いてらっしゃる時にご自分も一緒に歌われていたことには、お気づきになっていらっしゃらない様でした。
当時は、機内WIFIどころか、携帯電話も無い時代です。
お母様の危篤という知らせを聞かれて空港に駆けつけられ、飛行機に搭乗されたら、到着までは、病院やご家族に連絡することはできない。サンフランシスコから成田までのフライトの時間、どんなに長く感じられたことでしょう。
その方は、飛行機が成田に着陸した後にも、私に向かって、
「本当にありがとう。これから母の待つ病院に行ってきます。そして、息子としてやるべきこと、ちゃんとやってきますね」
とおっしゃり、軽く会釈までして下さり、飛行機を降りていかれました。
一期一会の出会いですが、私はこの出会いを忘れられません。そして、このお客様との出会い以来、それまで以上に、お一人おひとりに、できるだけ、敬意や感謝の気持ちを届けたい、そのために私にできることは?と考えて、乗務する様になりました。
仕事をしていると、目の前のお一人おひとりのお客様を、つい、お客様、とひとくくりにしてしまったりします。
でも、私は、この出会いで教えていただきました。
お一人おひとり、いろんな事情を抱えられ、いろんなお気持ちで、今、こうして目の前に座っていらっしゃる。お一人おひとり、なんだと。
ホスピタリティの原点である、お一人おひとりへの配慮、そんな、言葉では知っていて、わかったつもりでいたことの大切さをあらためて、気づかせていただきました。
今日は、仕事で出会うお客様についてのお話をしました。
でも、プライベートでも、大切なことはきっと同じなのでは、と思うのです。
目の前のかけがえのない人を大切に思い、思いやりと感謝の気持ちを持って関わっていきたいですね。
家族、恋人、仲の良いお友達
よく知ってる人だって、その時その時、抱えている気持ちは違います。
かけがえのない大切な人と向かい合えることに感謝して、あなたのとびっきりの笑顔と優しさを、時には思い切り、時にはそっと届けて下さいね♪
そして、かけがえのない大切な人と、心が通じ合い、お互いに相手の存在が嬉しい、そんな関係を築いていきたいですね♪
写真は、大好きな空から見た景色です。
今日も良い1日をお過ごし下さいね♪
高瀬晴子
アヌエヌエ代表