大阪アジアン映画祭では珍しいアメリカ映画だ。なぜ大阪アジアンに選ばれたかと言えば、監督と主演が韓国系アメリカ人であり、主人公の男性の設定が韓国人だからだ。
有名な近代建築が数多くあるというアメリカのインディアナ州コロンバス。そこで講演のために滞在していた建築学者の父親が倒れる。急遽韓国からかけつけたらしいジンは、そこで図書館司書のケイシーと出会う。彼女は母親の面倒をみるために自分の夢を諦めていた。彼女の案内で有名な建築物を見て回るうち、ふたりはひかれあっていく。
落ち着いたフィックスの画面や、シンメトリックな画面が多く、その画面は侯孝賢の映画を見ているようだ。もちろん、その原点にあるのは小津安二郎だ。後で知ったが、コゴナダ監督は小津安二郎の研究家としてのキャリアを持っているらしい。コゴナダという名前も小津作品の脚本家野田高悟からとったそうだ。今回の映画祭では小津の影響を受けた作品が他にもあったが、この人の映画が小津に最も近かったように思う。
会話のシーンではウディ・アレンを連想した。少しペダンチックなところがあって、そこが嫌味でなくていい。
この作品の字幕は、映画祭のボランティアチームが担当された。全員TOEIC満点の4人が手分けして作成したそうだが、大変苦労されたということだ。字幕を書くというのは語学力だけではできないということを実感されたそうだ。
2017年 アメリカ映画 監督 ココナダ 出演 ジョン・チョー ヘイリー・ルー・リチャードソン ほか
字幕チームの4人のみなさん。
2018年3月18日 ABCホール