『love letter』56。大事な用事 | 『love letter』執筆中 φ(..)

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今、2作目となる小説『love letter』を順次公開中です。

1作目は、アプリゲーム艶が~るの二次小説『艶夢噺』を書きました。全110話で完結しております(*^_^*)



12月も半分が終わり、あかりに会いに行ける日までやっとあと一週間となった。


この半月、ものすごく長かったなぁ……。
まさか、大人になって自分の誕生日をこんなにも心待ちにすることがあるなんて、ホント思ってもみなかったよ。

当日のことはあかりがいろいろ考えてくれてるみたいだけど、ホントに俺は会えるだけで嬉しいから、特別なことは何もしなくていいんだけどなぁ~。
とか言いつつ、かなり楽しみにしてるんだけどね♪



「あ、いたいた。ヒカル、コーヒー飲む?」

「ん?あぁ、ありがとう。飲む飲む」

「ほらよっ」


ナツヤが放り投げてくれた缶コーヒーを両手で受け取る。



「マキちゃんは先に帰るってさ。羽村ももう帰った?」

「いや、多分その辺にいるんじゃないかな」

「そういや今回の代打さぁ…、やっぱ羽村が一番乗り気だったよな」

「うん。あいつ、ライブ大好きだもんね」



1月に開催されるフェスに急遽出られなくなった仲間のバンドの代打でターキッシュが出演することが昨日決まったので、それの打ち合わせをするために、今日はメンバー全員が事務所に集まっていた。
年明けのスケジュールはまだはっきりしてないけど、年末までは多分予定通りに休めそうかな?



「冬フェスとか出るの久々だよな。俺、寒いの苦手なんだけどなー」

「夏は夏で、暑くて倒れそうになるけどね」

「なぁ、ターキッシュで特製のベンチコートみたいなの作ってさ、みんなでお揃いの衣装にするとか良さそうじゃねぇ?」

「今から作るの?てか、さすがにコートだと演奏しにくいっちゃない?」

「じゃあ、毛皮モフモフのやつとか」

「ははっ、なんそれ。素材の問題?」

「53才ともなると冷えが堪えるしな」

「俺まだ52♡」

「お前だってすぐ53になるだろ~!?あと一週間で誕生日のくせに」

「いやねぇ、も~何を言ってらっしゃるのよオニイサン」

「はははっ。あー、誕生日といえばさ……」



ナツヤと2人でコーヒーを飲んでいるところに、羽村が何かを抱えながらバタバタとやって来た。


「あれっ、小西くんは?もしかしてもう帰っちゃった!?」

「うん、ついさっき。俺のせいで迷惑かけてごめんねって言ってたよ。ホントは自分らでフェスに出たかったやろうにねぇ」

「あー、そうなんだ。借りてた漫画返そうと思って持ってきてたんだけど……、
まいっか。また来週会うし」

「来週なんか約束してんの?」

「取材だよ。小西くんとこのバンドと一緒に受ける音楽番組の取材を21日に変更することになったってさっき言ってただろ」

「21日!?マジで!?えっ、何時から?」

「羽村、今ちょうどそれをヒカルに言おうとしてたんだよ。さっき、ヒカルが席を外した時にその話が出てたからさ」

「あっ、そういえばそうだったね。ちょうど月野の誕生日だからどうしようかって言ってたんだけど、全員が空いてる日が21日しかなかったみたいでさ。取材は昼の1時だから夜は大丈夫だよ。8時に店の予約してるんだったよね?」

「あぁ…、うん。それはいいんだけど…」

「あっ、なんか他にも予定あった?」

「うーん…、……」

「取材っていっても、小西くんがドラム叩けないから演奏はなくなったし、撮影もそんなに時間かかんないと思うよ」

「ん、分かった」

「…………。いいのか?ヒカル。なんか大事な用があるんなら遠慮しなくていいんだぞ」

「いや、大丈夫だよ。ありがとうナツヤ」






大事な用…


だけど、その日にしかスケジュールが合わないんなら仕方がない。








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年齢を間違って書いていたので訂正しました💦
あと、「小西くん」というのは
スピッツさんと交流のあるバンドの
ドラマーさんです。
名前を実名にしちゃったので
敢えてバンド名は伏せてます
(・・;)