*初詣にて妄想の産物(境内で煩悩まみれ/そして今更/しかも定番)
そこはかとなくdead end臭が漂います←
ナナメ読みでお願いします~








「蓮様!待っ、て…、行ってはなりません…!」


滅多なことでは宮から出てこない巫女が息を切らせながら駆けて来る。

それで十分だと、思った。


「巫女…俺が出ないわけにはいかないのです」

「ですが戦に出れば貴方は…っ」

「戦は勝利を収めるのでしょう?」

「は、い…」

「俺が出なければその宣託は変わるかもしれない」

「………」

「なら俺は国を優先します」


一点の曇りもない、決断に揺るぎない瞳に。

巫女は絶望する。


(なんて無力なの…っ)


自分は星を詠むだけにすぎない。
星見の結果は絶対で、それを捻じ曲げることは巫女であっても不可能。
先日この戦の為に見た星見が脳裏に蘇る。
戦は勝利する。
けれど眼の前のこの男は…


「だめ…っ、だめです…行かないで…」


巫女とてもう判っている。
蓮が己の命欲しさに自国を見捨てることなどしないと。


それでも…


(私が…)


涙を滲ませ必死に自分を止める巫女に、蓮は柔らかく微笑った。


「巫女。俺は偶然にも星見の結果を知ってしまった。それにより結末が変わるかもしれないじゃないですか」


「っ……」


な い


星見が違えることは、けしてない。
戦に出れば必ずこの男は命を落とす。
それが星見。
星見は祈りではない。
少し先を教えてくれるだけの事実なのだから。


(それでも、貴方に死んで欲しくない…)


「ならば蓮様、せめてこれを」


巫女は己の首にかけていた勾玉を外して蓮に渡す。


「これは…」

「護りの力が籠められています」


星見の前でどれほどの効果があるのかわからないけれど。
何でも構わない。
未来が変わる布石になれば。

どうしてもこの男を失いたくなかった。


「だめだ。これは貴女の護り石じゃないか」


星見の巫女となる者は、この世に生まれし時にその証として必ず歴代の巫女と同じ石を手に握っている。
その石はこの国で一番の加護の力を秘めていて。
故に非力な巫女は、石を勾玉とし肌身離さず身につけさせられるのだ。
他国からの刺客に命を狙われないように、攫われないようにと。
そんな大事な石を、きっと生まれて初めて巫女は手から離そうとしているのに、不安な様子は微塵も表に出さない。


「私が外に出ることはないので、危険な目に合うことはそうありません。宮の結界もありますから」

「何を言う。術師が常に狙うは星見の巫女だろう」

「短い間なら大丈夫ですよ。そんなに気にかけていただけるなら……どうかお早い、お戻りを」


(生きて…戻ってきて)


それだけを、願う。


「……わかった」


蓮は受け取った勾玉を首にかけると、次に己の左腕に嵌めていた腕輪を外して、それを巫女の腕に通した。
オオツタノハに翡翠が埋められているこの腕輪からも、温もりとあわせて加護の力が伝わってくる。


「蓮様?」

「預かっていて。俺が戻るまで」

「ダメですっ!これは蓮様の護り石でしょう?」


蓮の石もかなり強い力を持っている。
護りは強いに越したことはない。

(この翡翠と勾玉、二つあれば…)

少しでも星の宿命に逆らえたらと、勾玉に託したのに。


「巫女の護りがあれば他のは必要ないよ」

「でもっ!」

「守らせて」

「え…?」

「俺も、君を守りたいんだ」

「……っ」

(な、んでそんな顔で…そんな言葉を…今)


反射的に胸が震え、顔に血液が昇ってきて、熱い。

(勘違いしちゃダメ。蓮様は誰もにお優しいだけだから…)

熱を散らそうと頭を左右に振り、蓮の軽い言動を窘めようと顔を見上げる。


「……!」


間合いを詰めてきた蓮と至近距離で眼が合う。

巫女の鼓動がまた暴れ出した。


「巫女…」


視線がぶつかる。


逸らすことなどできない。





蓮は巫女の紅い頬を掌で優しく撫ぜた。
そして思う。

伝えるべきは今なのではないか、と。

しかし過る星見の宣託。
易々と流されるつもりはないが、星見が今まで違えたことがないことは蓮も知っている。

宣託を聞いた時から、心のどこかで己の運命は覚悟していた。



だから、少し逃げた。




「蓮様…?……んっ!?」


さらりと巫女の顎を掬い己の唇を巫女に重ねる。


(行動に移すには容易いのにな…)


想いを言葉に乗せる方が難しい。
言葉には魔が宿ってしまうから。



"ずっと、愛しく想っていた"



ただそれだけが言えない。



代わりにこんなことで諦めきれない想いをぶつける。


(巫女からすれば迷惑なだけだろうけど…)


でも巫女は優しいから、きっとただ困ってしまうだけなのだろう。

重ねた唇は想像以上の柔らかさで、もっと深く貪りたい衝動に何とか抵抗して。
困惑する巫女の顔を予想しながら解放する。

しかし巫女の表情は蓮が思ったものと少し違った。

頬を紅潮させ、潤んだ瞳で蓮を見つめてくる。

それはまるで誘われているような気にさせられるのだが、そんなはずはない。
でも己の止まらない想いは、ある決心をさせた。


「必ず戻る」



——そしてその時は、巫女を己の妻にしてみせる。





蓮の意思の強い眼差しに、巫女もまた揺れ動く。

己は星見の巫女で、深入りしてはいけないのに。


心が騒ぐ


「蓮様一つだけ……お願いを聞いていただけますか」


もう遅い


「もちろん」


手遅れ


「私の名前を呼んで下さい」


もう十数年呼ばれることのない己の真の名。
それをどうしても聞きたかった。



この…愛しい男の口から。




「…キョーコ」


「……っ」



胸が、熱く震えた。




「ご武運を…」


それだけ言うのがやっとだった。











出陣した蓮の背中を、見えなくなるまで追う。


「どうか…」


どうか彼の宿命が、滅びの軌道から外れますように。


同時に、己の心も決まった。



「もし星見のとおりの未来になれば…」





私も貴方についていく。







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初詣のおみくじ…2年連続の大吉やったんですけど…
大吉効果というか恩恵がまったくないんですけど?むしろ昨年から大凶レベル…
これはあれですかね。この大凶レベルな人生も、大吉故にこの程度ですんでるということですか。
それとも、もう私には一生幸せはこないということですか(闇)

ああもう電源を切るように命のスイッチも切れたらいいのに←

…そんな近況です(暗黒すぎですから)