前回、様々な理由からスーパーカーをマグロ型にするのは厳しいので、空力的に渦ができやすい、なんて話をしたわけですが、

スーパーカー以外で、それをうまくやっている例がありますので、今回はそのご紹介から。

そう、それはレーシングカー(今回例に出すのはF1マシン)なんですね。

面白い絵を見つけたので、こちらにリンクを貼っておきますが、このF1マシンの設計図のような絵を見てみてください。

F1って、こんな感じになってるわけです。

で、この絵の中の、リアウィングを外して、上から見たところを見ますとね。

サイドポンツーン(車の真ん中あたり、運転席の左右の膨らんだ部分)のところから、後方にかけて、かなり車体が絞られていくのがわかりますよね?

車の一番後ろの部分なんて、一番太いところの1/3くらいの幅まで車体幅(タイヤと底に敷いてある板部分を除く)が絞られてるわけです。

また、横から見たところで、車体上面も同じように、一番高いのが、運転席のすぐ後ろですが、そこから後方に向かって一気に低くなっていき、最後、リアウィングの付け根までいくと、かなり絞られています。

また、ちょっとわかりにくいですが、車体の下面も後輪の少し前辺りから上向きになり、これもリアウィングの付け根に向かって上がっているわけです。

これらの形、マグロのおなかから尻尾の付け根にかけての形とものすごく良く似てますよね?

という感じで、車も形にこだわらないのであれば、こういう風にしたほうが空気の抵抗を減らせるわけです。

でも、この構造は、F1みたいなレーシングカーだからできるものでもあるんですね。

市販するためのスーパーカーで、これをやるのは、まず無理です。

つまり、二人乗りで、F1に比べて居住スペースをかなり大きくとる必要があるわけですし、ドアも開閉するものをつけないといけない、

エンジンやその他のパーツも耐久性や値段を考えると、大きいもの、重いものを使わざるを得ない、そうなるとフレームを頑丈に作る必要がある。

前のエントリーでも書きましたが、リアにはライトだのナンバープレートだの、つけないといけないものがあるし、なによりも後輪を丸出しにして走るわけにはいかないから、カウル(後輪を覆うカバー)としてのボディが必要になるんですよ。

そして、マグロ体型は、何よりも、カッコ悪い…。

F1だから、フロント部分も小さいし、リアには大きなリアウィングが付いていますから、車体のリアが絞られているこのカッコでも、それほどかっこ悪いと思わないですけれども、フロントが普通の車サイズで、リアが絞られてたら…。

ため息つきたくなるような格好の車が出てきてしまうわけです。

まるでオタマジャクシ…。

他にも理由はあるのでしょうけれども、スーパーカーでF1と同じことは出来ないのです。

だから、スーパーカーにはいろいろな工夫がされているわけですね。

たとえば、F1のリアの下面についていて、上側に向かって車体を絞っているデフューザー。

最近のスーパーカーにも形に差はありますがついてますね。

良く解説などでは、ダウンフォースをつけるためだと説明されることが多いですが、もちろん効果としてはそういうことにもなるんですけれども、

なぜ、ディフューザーでダウンフォースが発生するのか?ということを考えるとこれが、空力的に良いということがわかると思います。

ということで、今度はダウンフォースの話になりますので、今回はここまでにしておきましょうか。

とりあえず、今回は、F1などのレーシングカー(フォーミュラーカー)は、実は、マグロ体型に近い格好をしているということ。

そして、そのおかげで、後方に渦ができにくく、後ろに引っ張られる力が働きにくくなっていて、速く走れるひとつの要因になっているということが、わかっていただければそれでいいです。

次回は、ダウンフォースも含めた空力のお話。

本当に空力の話をし始めるといろいろなことが出てきてなんとも難しいんですが、出来るだけわかりやすく書きたいと思いますので、なんとかついてきてくださいね。