最近、円と日本経済に関するインタビュー記事を読み、いくつか新しい気づきがありました。

元日銀総裁の白川方明氏は、非常に印象的な指摘をしています。「実質実効為替レート」の観点から見ると、円の長期的な水準は1970年の固定相場制時代に近いレベルまで下がっており、グローバルな視点では円の“総合的な実力”が低下し続けているということです。

氏はまた、通貨とは本質的に「国家の信用の表れ」であり、経済の活力、生産性、賃金の伸びが長期的に弱い場合、短期的な為替変動とは別に、通貨は中長期的に弱くなっていくと述べています。

この30年の日本の構造変化としては、
・生産性の伸びの鈍化
・人口減少
・国内投資の減少と資本流出

といった要因が、円の長期的価値に影響を与えてきたと考えられます。

一方で、長期にわたる金融緩和政策は短期的には経済や市場を支えてきたものの、構造的な課題の対応を遅らせる側面もあったのではないかという見方もあります。

読後に強く感じたのは、
為替の動きは単なる金融政策の結果ではなく、その国全体の“基礎的な力”を映し出しているということです。

短期的には価格や金利の動きに目が向きがちですが、本質的には産業構造、人口動態、イノベーション、財政といった要素の積み重ねが長期方向を決めていくのだと思います。

複雑な経済ほど、少し視野を広げて見ることの大切さを改めて感じました。