ずっと気になりながら85分という短さ、ストーリー性から
見終わって恐らく欲求不満を感じるだろう・・と思って延ばし延ばしになっていました。
が、「旧作50円」というイベントのおかげで、やっと見ました。
Monody-カンダハール 
Monody
                   右の女性が主人公ナファス

恐らく、カンダハールには行き着けないのだろう・・・そして、
恐らく、ナファス(主人公の女性)は妹には会えないのだろう・・・

エンディングに「え!?それで終わる?」と感じながらも
始めから終わりまで引きこまれて見てしまった85分。

アフガニスタンが題材となり、「国際社会に見捨てられた国」
と云われる国で生きる人たちの姿が残酷でもあり、
またそれとは裏腹になんともいえない「生身の人間」を感じる実相。

死人から取った指輪を買え、とまくしたてる少年、
義足が違うと妻の足の大きさにこだわる男、
空から落とされる義足のパラシュートへ向かって走る松葉杖の男たち、
女装をしてカンダハールまでの婚礼の集団に紛れ込む男・・・・

アフガニスタンの現実を生きる人々の「たくましいユーモア」、
現実が映像に昇華されているマジックにやられてしまって、
ナファスと同行しているような錯覚さえ覚えてしまうのです。

素晴らしい作品なのに、今まで棚から取っては置いてを繰り返していたことが
なんだか「もったいない」ことをしていた、と思ってしまいました。

女性が顔を覆う「ブルカ」。彩り鮮やかなこの集団が登場するシーン、
Monody アフガニスタンから逃れるために息子を女装させたり、
自ら女装した男、そして、それぞれの集団は目指す地へと分裂。

検問を越える為に他人の親戚になったり、
架空の家族を作ったり・・・

ナファスは恐らく、ここを越えることはできなかっただろう・・・


SAFAR E GANDEHAR
監督・脚本:モフセン・マフマルバフ
製作国:2001年イラン・フランス