認知症と扱った作品というのは必ず施設が出てくるのですが、
この作品も施設に入る認知症の妻と夫のリレーションシップがテーマ。

アウェイ・フロム・ハー 君を想う


カナダの凍てつくような風景、ニール・ヤングの音楽「helpless」
夫が妻に読み聞かせる本「Letters from Iceland」

作品に彩りを添えるこれらのもので救われているような・・・

そんな感を覚えた新作DVDでした。

たくさんの賞を受賞しているとはいえ、

「それで終わる?」「そのお終いはないでしょう?!」
と So what? までは言いませんが、ラストに落胆。

まだ「私の頭の中の消しゴム」のほうが泣けて泣けて、すっきり見終えることができました。

そして「君を想う」という副題に
春にして君を想う
 春にして君を想う(1991) - goo 映画

この映画を思い出して、上映会をしたことや、シネカノンまで行った事、
大阪第七芸術劇場で一日中この映画をみたことを、まるで、
私が「認知症」のように思い出してしまいました。

故郷へ帰りたいとホームを抜け出した老婦人ステラ。
スニーカーを履き、盗んだジープでまるで逃避行のようにソウルゲイルと目指す故郷。
老人のロードムービーのようですが、アイスランドのフィヨルド、荒涼たる風景、
それらを背景に、孤独と不安、生と死、自然との係わり合いを見事に描いた作品でした。

ラベンダーの彩りも、それはそれは素敵なポスター。
アートムービーそのものでした。


どうも、この「春にして君を想う」へのアイスランド映画への「想い」が強すぎて、
「アウェイ・フロム・ハー」は所詮「興行映画」だなぁ、という感が拭い切れませんでした。