5月前半相場を振り返ると、日経平均株価は4月末の26847円に対し16日は26547円で終わった。

だが、安値25688円まであり、日経225先物は一日の値幅の大きく、最小でも300円という荒い相場付きであった。

※引用:楽天証券

 

世界的に不人気であった日本株であるが、4月中旬以降、下げが止まらない米国株に比べると底堅さが目立ってきている。

※引用:楽天証券

 

先行して下げてきた日本株の現状の水準は「陰の極」が近づいているのではなかろうか。

理由は日米主要指数のPER(株価収益率)を重ねるとみえてくる。

米国株の12カ月予想PERは17.0倍と、2020年9月のピーク24.1倍から調整したが、過去10年平均に戻ったに過ぎない。

一方、日本株の予想PERは12.3倍。

過去10年間のPERのレンジのほぼ下限に来ている。

3月のレポートでも触れたが、予想PERの「12倍」は相場の下限を示す節目として知られている。

※引用:ダイヤモンド社、Twitter

 

同PERが12倍を割れたのはチャイナショックの2016年初め、クリスマスショックの18年12月、コロナショックの20年3月の3回だ。

※引用:地銀アセットマネジメント

 

PERが12倍を割って下がっていくためには、企業業績がさらに悪化しなければならない。

急激な円高が進んで実際に企業業績が落ち込んだ16年や18年と異なり、今は大幅な円安が進行中であり、相対的は業績の後押しをしている場面である。

※引用:investing.com

 

また、これまで日本の株価を押し下げてきた2つの固有のディスカウント要因も解消に向かいそうである。

日本株はここまで「中国ディスカウント」と「岸田ディスカウント」という2つの固有の悪材料が株価を押し下げてきた。この2つにも解消の兆しが出ている。

中国の都市封鎖はなお継続中だが、一部の工場の再開で生産が底入れに向かっている。

反市場的政策が警戒されてきた岸田文雄首相は英金融街シティーの講演で「資産所得倍増プラン」をぶち上げた。

「岸田首相が市場重視に急に変わるとは思えないが、株価の足を引っ張るリスクは後退したと考えていいのではないか。

※引用:日経新聞

 

先行きはなかなか見通せないが、このことから日本株の「陰の極」は近いとも言える。

ただし、個別銘柄には様々な懸念もある。

3月期決算の発表が相次ぐなか、今期の業績予想を「未定」とした銘柄への売りが際立った。

沖縄電力はウクライナ危機を受けた燃料価格高騰で先行きが読みづらいとして業績予想を出せなかった。

※引用:楽天証券

 

他にもキッコーマン、エスティック、SBテク、エムスリーなど、業績未定の発表を機に売られる事例が相次いだ。

※引用:楽天証券

 

業績予想は発表義務がないが、株主にとって重要事項のため公表する企業は多い。

短期で正確さが求められる点から足元の事業環境に関する投資判断になる。

新型コロナウイルスの感染が広まり始めた2020年春の3月期の決算発表では、約6割の上場企業が21年3月期の配当や業績予想を未定とした。

→※引用:ニコニコニュース

 

しかし、今はコロナ禍ほど幅広い業種で不透明さが出ているわけではなく、今回の決算で未定を想定していた投資家は少ない。

業績予想という手がかりを提示できない企業は投資が分からない不確実性の高い銘柄として投資を避けられることになる。

 

もう一つ自社株買いに対する評価に変化が起きている。

今までのように無条件の歓迎ではなくなっている。

※引用:カブスル

 

どのようなケースかというと、PBR(株価純資産倍率)の高い企業が自社株買いをすると、発行済株式数の減少率よりも自己資本の額の減少率の方が大きくなり、BPS(1株当たり純資産)希薄化し株価は割高になる可能性が高まる。

最近自社株買いを発表した企業では高PBRのシマノや日本電産の株価はさえないが、低PBRのニコンなどは大きく上昇している。

今後の自社株買いの発表には注意したい。

※引用:楽天証券