7月後半相場を振り返ると、日経平均株価は6月末の終値28791円に対し7月末は27283円の1508円安の軟調な相場であった。

※引用:楽天証券

 

特に19日には、重要な節目である200日移動平均線を1年ぶりに下回った。

20日には27330円の安値を付け、5月13日の27385円を下回ってしまった。

さらに30日には27272円と安値を更新した。

※引用:SBI証券公式サイト

 

新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)への警戒感が株安の主因と説明されやすいが、加えて製造業を取り巻く景気の不透明感と、国内政治不安というオリンピック後のリスク要因が買いを鈍らせている面も見逃せない。

海外市場では米ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数が7月に最高値を更新、独DAX指数なども最高値を付けている。

※引用:楽天証券、Investing.com

 

一方で日経平均は3万円を超えられないどころか、200日移動平均線も下回るなど出遅れが鮮明になっている。

この日本株の弱さをもたらしたのは何か、少し分析しよう。

下旬の業種別日経平均は、空運、機械や電気、自動車などの景気敏感業種の下げが目立った。

景気の先行きに対する懸念が強まっていることを映している。

実際、市場では中期的な景気減速を織り込み始めている。

※引用:nikkei225jp.com

 

国内債券市場で、8日に新発2年物国債の利回りが新発5年物国債を上回り、中期的な景気後退を意味する「逆イールド」が生じた。

※引用:kabukiso.com

 

その後も利回りが同程度の水準にある。

日銀が3月以降、債券市場が経済情勢を反映して推移するよう、促す中で生じた逆イールドだけに、市場も警戒を強めている。

政治を巡る不透明感も嫌気されている。

秋までに衆院選を控える中で菅義偉内閣の支持率が低下。

選挙の結果次第では政権運営への逆風が強まりかねない。

これは、都議選で自民党が苦戦を強いられたあたりから不透明感が意識され始めた。

※引用:jiji.com

 

こうしたリスクに海外勢は敏感である。

米バンク・オブ・アメリカの調査によると、世界の機関投資家の日本株に対するポジションで「オーバーウエート」の比率から「アンダーウエート」の比率を差し引いた指数はマイナス6と、20年8月以来の低水準となっている。

※引用:ifinance.ne.jp

 

しかし、このような状況の中で割安感が強まっているのも確かである。

QUICKによると東証株価指数(TOPIX)の今後1年間の予想利益をベースにしたPERは15.2倍とコロナショックで株価が急落した後の20年5月以来の低い水準となった。

※引用:日経新聞

 

一方、米S&P500種株価指数の予想PERは約22倍と、歴史的に見ても依然として高水準にある。

※引用:nomura.co.jp

 

米アマゾン・ドット・コムをはじめ大型ハイテク株はコロナ下の行動制限が追い風となり、過熱感を指摘する声もあり、米景気もややピークアウト感も出ている。

米景気の伸びが鈍化すれば、世界の景気敏感株と言われる日本株の割安感はさらに強まる可能性もある。

※引用:楽天証券

 

7月の下旬からは日本企業の4~6月期の決算発表が本格化するが、今の相場環境を反映してか好決算の発表後に株価が大幅に上昇しても、翌日には下げてしまうなど株高が長続きしない銘柄が目立つ。

シマノが27日の引け後に発表した決算で、2021年12月期の経常利益予想を上方修正した。

28日に一時、6%高の30400円の上場来高値を付け、引けでも4%高だった。

それが29日には4%安と、決算発表前の28735円から15円高までほぼ戻ってしまった。

※引用:楽天証券

 

同様にKOAは28日に3%高となったものの29日に3%安、積水樹脂は28日に1.2%上昇したが、29日には1.4%下げてしまい、下落の方が大きかった。

※引用:楽天証券

 

このように好決算でもすぐに利益確定売りが出やすい状況は、日本株全体の上値が重いというマクロ環境の影響であるが、個別企業に特段の悪材料が出たわけではなく、状況が改善すれば上昇余地もあるのではないだろうか。

 

 

まだまだ真夏日が続きますが、お体ご自愛ください!

 

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