大字粗戸/バス停留所付近/初日/1時27分32秒
深夜の林道を一台の車が走っていた。
「おい、いつまで似たような道進んでんだ!帰って映像の編集しなくちゃいけないってゆうのによぉ」
「それがおかしいんですよ…進んでるようで進んでないってゆうか…ガソリンは減ってるんですけど」
「何言ってやがる!この辺は似たよう地形が広がってるだけだろうよ。おかしな事言うんじゃねぇ」
薄気味悪い夜だ。うっそうとした林がずっと広がっている。
霧で遠くが霞んで見えないが…ん?。
「おい!ありゃさっきあったマウンテンバイクじゃないか」
「そうですね。さっきもありましたね」
「車を止めろ!」
運転手が慌てブレーキを踏みこんだ。
車が停止すると助手席の男がドアを開け倒れたマウンテンバイクに近寄った。
「またなんでこんな所にチャリが…」
男はマウンテンバイクを見回した。
名前が書いてあった。
須田… 恭…。
「持ち主かな。」
「津木さーん、何かわかりましたか」
運転手が車内から呼び掛けた。
「ん…いや名前が書いてあるだけだ」
津木と呼ばれた男は車に戻った。
「なんか不気味ですね…」
運転手が呟いた。
「まぁ、先を急ごう」
津木が呟きを遮った。
車を走らせて5分が過ぎたぐらいだな。
「おい!またあのマウンテンバイクあるぞ」
「またですね」
「停めてくれ」
「はい」
再び津木は車から降りると倒れたマウンテンバイクに近寄って名前を見た。
「…また須田だよ。どうなってやがる」
津木は不思議にとらわれたが車にそそくさと戻った。
「波野、今度は左か右に曲がってくれ。どっちでもいいから」
津木が運転手に頼んだ。
「わかりました。左に曲がりまぁ~す」
運転手の波野が答えた。
車を走らせて間もなく最初の左の道へ進んだ。
さらに道を進むと外灯が見え集落があった。
「民家がありますよ。でも静かすぎますね…」
波野が言った。
「そりゃ、夜中だぞ。こんな時間になにもねぇ村をほっつき歩くほうがおかしいぞ」
「どうします」
波野が尋ねる。
「路駐して朝まで待つか」
津木が口走る。
「そうですね。今から会社戻るにしても時間かかりますもんね」
と波野。
津木はシートを倒して目をつぶった。
「津木さん、あそこに人居ますよ」
波野が指をさす。

津木は波野がさすほうを見た。
「じゃあ、ちょっと俺道を聞いてきますね」
そう言うと波野が車からおりて人影のほうへ歩いて行った。
津木はシートにもたれ再び目を閉じた。
「うぁぁぁ、つ、津木さん、早く逃げて…うっ」
津木は跳び起きると声がするほうに目をやった。
「うわぁ、なんてこった!ひでぇ」
悲痛の声がこだます。
現実を受け入れるにはじゅうぶんな惨劇だった。
津木は車をおり波野の元へ走ったが波野は息絶えていた。
「おい、波野!!」
何度も叫んだが返事はない。
津木は遠くを歩く人影に走りより声をかけた。
「おい!あんた、何をしてくれてんだ」
肩に手をかけこっちを見させた。
死人??
「っておい!おまえ何者だ」
「ヴォオォ゙オ゙ゥ」
人とはいえぬ人が雄叫びをあげた。
「こ、けりゃ、やべな」
津木は異形の人を押しのけがむしゃらに逃げ走った。
「おい!誰かいないか!」
津木は一軒一軒の戸を叩いたが反応がない。
「おっあそこ明かりが」
明かりに向かって走りだした。
津木は明かりがが漏れる戸を開けた。
開けると警察官が食事をしていた。

「お巡りさん!!大変なんです、お巡りさん?おまわ…やべぇ、こいつもやべぇ。なんなんだよこりゃ」
異形の警察官が津木に気付いた。
津木は慌てて戸を閉めるとがむしゃらに走りだし死に物狂いで土手を駆け上がり森の中へ消えて行った。