Dia 30 Palas de Rei


サンティアゴへの距離が100kmをきる。

帰国日を遅く勘違いしていた焦りか、旅が終わることへの焦燥感か、今日は10時間34kmを歩いた。

今でこそ元気に歩いているが、当初は大変だったことを思い出す。


歩く前は自分のことを健脚だと信じており、自分の人生において膝を壊したり、足にマメができることなど考えたことも無かった。


10kg近い荷物を抱え25km前後の行程を行く。

背中が千切れそうになり休息をとると、今度は麻痺していた足の感覚が戻ってきては燃える様な痛みを覚えながら歩みを再開する毎日。


ある時は足の小指が倍に腫れ、どこにどういう仕組みで爪がついているのか分からないこともあった。


その様な中でここまで辿り着くことができたのは、紛れもなく共に歩いた巡礼者達のお陰に他ならない。

「君に会えて元気がでたよ」

幾度もそう言ったことがあるが、それは社交辞令でもなく真実であった。

同じく大変な道を歩いているであろうにおくびにも出さず交わされる温かい挨拶。

時にはお互いの怪我を見せ合って苦笑もした。

彼らのただただ愛に溢れ、そして頼もしいその勇姿に私は心からの感謝と尊敬を捧げたい。