Dia 28 Samos


早朝、雲海を眼下に道を行く。

そのうち晴れてくると思いきや、しばらく霞がかった中を睫毛に雫を覚えながら進む。

現れては消えまた現れる巡礼者の姿こそ人生の出会いと別れにも似て。


今日は修道院に泊まる予定で楽しみしていたが、受付を済ませた後もなぜかしら気が乗らない。

私は自分の気持ちと直感を大事にしようと荷物をまとめた。

次の町を目指そうかとも考えたが、この地から12km先というのは今の体調を鑑みても厳しいものがある。

泣く泣く近隣の宿をあたったところ、先程までの悲しみが嘘の様に快適な宿泊先に出会うことができた。

そして、奇遇にもずっと会いたいと願っていた台湾の友人達とも再会。

共に観光し、食事までご馳走になる。

拙い英語ながら楽しく過ごせたのは彼らの温かさと寛容さのお陰に他ならないだろう。


修道院を後にすることになったことは、却って神様からのギフトだったのかもしれない。