Dia 25 Ponferrada
旅立ち前から意識していた Cruz de Ferro(鉄の十字架)。
朝焼けに合わせて彼の地へ向かう。
暁に染まる十字はさぞ荘厳なものだろうと考えていたが、私の心がそう見せるのか、実のところ穏やかで真っ白な光の柱の様であった
三つの願いを石に刻みその足元に供えた。
友に、母に、未来の自分に。
そのうち二つはもう随分前から変わっていないことに気付く。
願いというものは、それを思いついた時から始まっているのかもしれないし、もしかしたら既に叶っているものなのかもしれない。
花のアーチより口付けを受け、石の河に試されながら向かった目的地は黒く統一された屋根が品の良い町だった。
夕食をご馳走になっては仕方ない。
私はお礼に日本の歌とイタリアの歌を歌った。
別宮貞雄『さくら横ちょう』
A.Scarlatti『Già il sole dal Gange』