Dia 7 Estella


今日は僕の姿が見えなくなったことに心配した友人がなかなかの距離を引き返してきたらしい。

一本道のはずがどこかですれ違ってしまったらしく、随分と探したとのこと。

「彼、貴方のことを本当に心配していたのよ」

人伝にそう聞いてなんだか胸がとても温かくなった。


僕は小さい頃によく叱られて育ったので名前を呼ばれることが好きではない。

しかしこの旅では世界各国の道中を共にする仲間が僕の名前を覚えてくれて「Hide!」と呼んでくれるのが嬉しくて、いつしか自分の名前が好きになっていた。


羊飼いが星の導きにより聖母マリア像を見つけたことによる、『星』を意味するエステージャ。

私も星に誘われて辿り着き、大切なものを取り戻しながら歩いている巡礼者の一人である。