今日はこちらの記事から。
世界初「親3人」体外受精、英議会が承認 来年にも誕生 2015年2月25日朝日新聞デジタル
この記事をきっかけにミトコンドリアに心を奪われているil-manoです。
毎回思いますが、生殖医療の進歩は本当に日進月歩です。
そして、生命倫理の難しさ。
ミトコンドリア病の女性にだけ認められる医療だそうです。
ミトコンドリアって?
まずは、ミトコンドリアから考えないとですね。
こちらが細胞の模式図です。
私たちの体は60兆個の細胞からできています。
その細胞の中にある小器官の一つがミトコンドリアで、図の緑色のゾウリみたいなのがそれです。
これ、一つの細胞に数十個から数千個あるそうです。
ホルモン講座でも細胞のお話をしますが、細胞を工場にたとえてお話ししていきます。
ミトコンドリアの役割は、発電機。
ここでエネルギーを作って工場を動かしているんです。
そして、設計図が遺伝子=DNAです。
DNAは普通核の中に収められていて、その情報をもとに様々なものが作られていくのですが。
このミトコンドリアくん、
この子だけ、独自のDNAを持っているんです。
mtDNA=ミトコンドリアDNAといいます。
遺伝情報としては全DNAの0.1~0.2%くらいのものらしいです。
遺伝情報の99.8%以上が核にあるDNAにもたらされているということです。
もう一つの大きな特徴は、
ミトコンドリアDNAは母系遺伝だということ。
父親のmtDNAは受精すると淘汰され、母親のmtDNAのみが受け継がれていくんです。
生命の神秘、不思議ですね。
なので、mtDNAをたどれば先祖がわかるなんてこともあるようですよ。
で、母系遺伝ですが、
母から100%なので、母親のmtDNAに異常があればそれは必ず子へと受け継がれることになります。
ミトコンドリア病と言われるものが、ミトコンドリアの異常により起こる疾患の総称、症候群といいましょうか、
発電がうまくいかず、エネルギーが不十分なために細胞がうまく働けなくなり、もたらされる様々な不具合のことをさします。
詳しくはこちらを、
難病情報センター ミトコンドリア病(公費対象)
今回の記事は、この母系遺伝するミトコンドリア病を断ち切るため、卵子の核移植をして、不具合のあるミトコンドリアを切り捨てて、健康な人からミトコンドリアをいただきましょうという医療をイギリスは認めましたよ、というものです。
結果的には、そうして生まれた子はミトコンドリア病は回避できるかもしれませんが、3人の親の遺伝子を受け継ぐことになります。
99.8%を両親から、0.1~0.2%をもう一人の女性からです。
難しいですね。
本当に。
生殖医療は毎回課題を与えてくれます。
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