今回はちょっと視点を変えて、同性愛、性同一性障害と生殖医療を見てみたいと思います。

 その前に性同一性障害と性別変更についてを書いておきますね。

 日本では2003年性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」というものができました。

 性同一性障害者のうち特定の要件を満たす者につき、家庭裁判所の審判により、法令上の性別の取扱いと、戸籍上の性別記載を変更できるというものです。

 まずは、必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が必要になります。

 ここの部分は岡山大学や以前にもご紹介した針間先生がご専門です。

 そして満たすべきその要件とは、

 1、二十歳以上であること。
 2、現に婚姻をしていないこと。
 3、現に未成年の子がいないこと。
 4、生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
 5、その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

 この五つです。

 なので外科的手術が必要となります。

 ここは岡山大学病院ジェンダークリニックが専門です。

 今年の日本性科学会の学会でもすばらしい技術を見せていただきました。

 というわけで、性同一性障害で性別変更をした方は、生殖腺がありません。

 これをふまえて、

 レズビアンのカップルやFTM (女性から男性へ)当事者と女性のカップルは第三者の精子の提供を受ければパートナーの子供を設けることができます。

 同性婚は認められていませんが、性別変更した場合の婚姻は成立するので、2013年の最高裁判決でもFTM当事者が婚姻して、AID(第3者の精子提供による人工授精)により妻との間に生まれた子をこの夫婦の子であると認める判決が出ています。

 ゲイのカップルやMTF当事者と男性のカップルの場合は第3者の卵子提供や代理母が必要となり、日本ではまだ難しい状況です。

 養子縁組という選択をするカップルが多いようですが、ここもそんなに簡単ではありません。

 そして、性同一性障害はよいがゲイやレズビアンは認めないというのがまだ日本の風潮としてあります。

 この件に関しましては、各政党向けに行われたアンケートが興味深いです。

 政党の人権感覚は大丈夫か?~性的マイノリティに関する政策調査から考える2014.12.10

 第23回 参議院選挙】各政党に聞いた、セクシュアル・マイノリティについての5つのこと2013.7.22

 上が昨年末行われた衆院選前のもの、下が2013年夏のものです。


 それでも、今の日本、家族のあり方は多様になってきています。