卵子の凍結保存シリーズ、死後生殖のその3です。

 技術として可能な死後生殖です。

 では、死後生殖は誰のものでしょうか?

 生殖医療全般に関わる大きな問題です。


 3、死後認知

 卵子の凍結保存 死後生殖 その1 2014.12.24

 でも書きましたが、

 我が国の死後生殖の初例、1999年に死亡した夫の凍結保存精子により体外受精で2001年に男児を出産し、その女性が、2002年に男児を夫の子として認知するよう国に求めて裁判をおこしています。

 2006年、最高裁はこの訴えを棄却しました。

 離婚後300日規定。

 日本の現行の法律、民法では、「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と規定しています。

 夫の死後、つまり婚姻の解消後300日以上経って生まれた子は夫の子ではないという解釈です。

 生まれた子は、精子の持ち主だった男性つまり生物学上の父の子とは認められなかったわけです。

 法律上の問題です。

 前回も書きましたように、日本は国として生殖医療に関する法が整備されていません。

 現状、裁判で争うことしかできません。。

 そして、裁判で認められなければ法律上親子とは認められません。

 当然、相続権もありません。

 海外の事例ですと、遺族給付などが受けられないということもあるようです。

 社会保障について詳しくないので日本での場合がよくわからないのですが。

 死後生殖に反対を唱える人達は、その理由の一つに、「社会通念や宗教上の理由での子供への差別」をあげているそうです。

 さらに、生まれた子はこの事実をどう受け止めるのかということも大きな問題です。

 他の兄弟との関係もしかりです。

 

 いつも思います、

 生殖医療は生まれてくる子供達にとって良いものであってほしい。

 そう願います。