卵子の凍結保存シリーズ、死後生殖のその2です。

 前回は凍結精子と死後生殖、

 今回は、


 2、凍結卵巣・卵子、凍結胚による死後生殖

 現状、卵子の凍結保存をしている女性は多くはないそうです。

 そのため女性が死亡した場合の死後生殖に関する報告はほとんど見られないとのこと。

 まず、卵子の採取は精子の採取ほど簡単ではないということが根本にあります。

 卵子の死後採取も難しいでしょう。

 また、

 卵子の持ち主の女性が亡くなっているのですから、子宮を提供してくれる代理母が必要になります。

 これも大きな壁です。

 それでも技術として可能であれば、希望する例も出てくるのは否定できません。

 これが凍結胚となればまた、男性が亡くなった場合は凍結精子と同じくでありますし、女性が亡くなった場合は卵子と同じく代理母の問題が出てきます。


 付記、代理母

 日本には現在、生殖補助医療に対する法整備がなされていません。

 いろいろな団体から指針は出されています。

 国の意見として考えられるのはこちら、

 代理懐胎を中心とする生殖補助医療の課題 - 日本学術会議
 
 厚生大臣・法務大臣の諮問を受けて日本学術会議で「生殖補助医療の在り方検討委員会」で審議され、2008年4月だされた報告書です。

 代理母については、

 ○代理懐胎は原則として禁止することが望ましい。

 ○営利目的で行われる代理懐胎には、処罰をもって臨む。処罰は、施行医、斡旋者、依頼者を対象とする。

  ○ 母体の保護や生まれる子の権利・福祉を尊重し、医学的、倫理的、法的、社会的問題を把握する必要性などにかんがみ、先天的に子宮をもたない女性及び治療と して子宮の摘出を受けた女性に対象を限定した、厳重な管理の下での代理懐胎の試行的実施(臨床試験)は考慮されてよい。

 ○代理懐胎により生まれた子の親子関係については、代理懐胎者を母とする。

 ○代理懐胎を依頼した夫婦と生まれた子については、養子縁組または特別養子縁組によって親子関係を定立する。

 とあります。

 遺伝子の母ではなく、出産という行為が母の認定なんですね。

 難しいですね。


 技術としては可能ですが法としての整備が追いついていないというのが日本の現状です。