おはようございます。

 今日は細菌性髄膜炎の原因菌の一つ肺炎球菌についてです。

 横浜市衛生研究所の横浜市感染情報センターのHPを参考にお話させていただきます。


 横浜市感染情報センターのHPをみますと、 

 日本人の死因第4位は何でしょう?とあります。

 ご存知ですか?(ちなみに三大死因はガン、心臓病、脳卒中です。)
 
 第4位は肺炎だそうです。

 その肺炎をおこす細菌として多いものの一つが肺炎球菌です。

 そしてこの肺炎球菌が引き起こす病態の一つが細菌性髄膜炎です。


 ・肺炎球菌とは、

 肺炎を引き起こすことで有名な肺炎球菌ですが、streptococcus pneumoniae といい、グラム陽性の球菌です。

 肺炎球菌には、90種の血清型が認められています。

 よく知られた10種の血清型で、重症の肺炎球菌感染症の62%を起こしていると考えられています。

 肺炎球菌もHib同様に、ポリサッカライドからなる莢膜(カプセル)を持つものと持たないものとがあります。

 このポリサッカライドからなる莢膜(カプセル)を持つものが人に対する病原性を持っています。


 ・肺炎球菌感染症ってどんな病気? 

 肺炎球菌もHibと同様に、人の気道に定着していることがよくある細菌で、健康な大人でも鼻やのどから、5%-70%で分離されることがあります。(Hibは健康な乳幼児の 0.5%-3%で鼻やのどで検出されます。)

 Hibよりもありふれた菌と言えます。

 やはり、そのまま何も起こさずに消滅してしまうことも多いです。

 ただ、Hibとは違い大人の感染も多く、特に高齢者には死因第4位にもなっている肺炎を引き起こす怖い菌でもあります。

 ありふれた菌がどのように感染を引き起こすのか?

 例えば、冬季にインフルエンザで気管の粘膜が損傷を受けるなど、体を守るバリアが損傷を受けたようなときに肺炎球菌感染症として発病すると考えられます。

 まだ免疫力の整っていない幼児、何らかの疾患を持ち免疫力の落ちた高齢者に発病者が多いのは納得がいきます。

 肺炎球菌は肺炎、細菌性髄膜炎のほか、菌血症(敗血症)、中耳炎、副鼻腔炎などの原因にもなっています。

 細菌性髄膜炎の発症例をみても、

 上段の図3-1にあるように、0~1歳の乳幼児、高齢者には起因菌として肺炎球菌が多いのが見て取れます。

 アメリカでは肺炎球菌による髄膜炎の致死率はやく30%で、高齢者では80%と高くなるそうです。

 日本では、

  肺炎球菌コンジュゲートワクチン(小児用)に関するファクトシート平成22年7月7日版 - 厚生労働省(Adobe PDF)

 によりますと、

 『抗菌療法の発達した現代においても肺炎球菌性髄膜炎の予後に改善はみられず、治癒88%、後遺症10%、死亡2%であったと報告されている。』

 後遺症としては、難聴、精神発達遅滞、四肢麻痺、てんかんなどがあげられています。

 肺炎球菌もありふれた菌で多くは不顕性感染ですみますが、免疫力が低い幼児や高齢者に、重い感染症を起こすことがある怖い菌ともいえます。