おはようございます。
今日は子宮頸がんワクチンと同じく今春定期予防接種となった、Hibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンについて考えたいと思います。
Hib:Haemophilus Influenzae. Type b ヘモフィリスインフルエンザ菌b型 も 肺炎球菌も細菌性髄膜炎の原因となる細菌です。
・細菌性髄膜炎
横浜市衛生研究所の横浜市感染情報センターのHPより抜粋しています。
外力からこの神経組織を守るため、硬い頭蓋骨や背骨が脳や脊髄の外側を覆っています。
しかし、頭蓋骨や背骨が脳や脊髄を直接覆っているわけではありません。
脳や脊髄の外側は、髄膜と呼ばれる組織で包まれています。
髄膜のさらに外側には、頭蓋骨や背骨等との間に髄液腔と呼ばれる空間があり、髄液腔は髄液という液体で満たされています。
通常、髄液は無色透明な液体で、髄液中には細菌やウイルスは存在しません。
髄膜で細菌やウイルスなどが増殖して炎症を起こすのが、髄膜炎です。
髄膜炎には、ウイルスが増殖するウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)と細菌が増殖する細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)とがあります。
細菌性髄膜炎と比較して、ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)は比較的軽症で、後遺症もなく回復する場合が多いです。
ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)と比較して、細菌性髄膜炎は比較的重症で、脳にも障害を起こし、聴力の損失や学習の障害を起こすことがあり、致死率も高いです。』
(なお、現在日本では、細菌の一種である結核菌による結核性髄膜炎、髄膜炎菌による髄膜炎菌性髄膜炎は細菌性髄膜炎とは別に扱われることが多く、今回もこのカテゴリーに含めずお話していきます。)
同じく横浜市感染症情報センターのHPによりますと、
『細菌性髄膜炎は、抗生物質等の治療を行って致命率は2-5%であり、回復者では15-30%で聴力障害や神経障害などが見られます。』
とあります。
かかると怖い病気ですね。
・どれぐらいの人がかかるのでしょうか?
国立感染症研究所のIDWR 2012年第16号<速報>細菌性髄膜炎 2006~2011年
によりますと、
2006~2011年に全国の基幹定点から報告された細菌性髄膜炎は、2006年350例、2007年383例、2008年408例、2009年464例、2010年487例、2011年558例の合計2,650例であった。
全数報告ではないのでこれが全てではありません。
細菌性髄膜炎を知っていますか?より
年齢別で見ると0歳が圧倒的に多く、次いで1歳、5歳までの罹患者が多いのが特徴です。
しかし、子どもに特有の疾患でもなく、成人にも見られ、60代70代にも罹患者は多く見られます。
起因菌の中で多いのが、Hibと肺炎球菌というのが上のグラフ図3-1、3-2からも見て取れます。
年間500例ほどの罹患者の中で0歳から5歳までが半数を占めるとして250例。
そのうち15%がHib、13%が肺炎球菌なので、38人、29人となります。
長くなったので、今日はここまでにします。
明日は、Hibと肺炎球菌をもう少し詳しくみたいと思います。