料理教室を始めて開催したのはカフェ・イル・コルジを開業した年の夏でした。
知り合いのコーヒー豆屋さんの発案で夏休みに開催したイベント「朝活」。
これが料理教室イル・コルジのスタートでした。確かその時作った料理は《カプチーノのプディング》だったかなぁ。
人に料理を教えるのは初めての経験。
参加してくれたのは小学生のお子さんとそのママ達でした。
現在もキッズコースを開講していますが、お子さんたちはわからない事があるとすぐに《なんで?》、《どうして?》と質問が飛んできます。
「プリンを焼く時なんで湯煎するの?」「なんで牛乳は温めてから卵に入れるの?」「砂糖をなんで強火で焦がすの?」などなど、大人が何気なくやっている事も子供にとっては新鮮なんでしょうね。
でも、大人になると、料理の一つ一つの工程に疑問を感じる事が少なくなっちゃうんですよ。
なぜって?
《レシピに書いてあるから!!》《ネットで調べたら書いてあったから!!》と情報を鵜呑みにしちゃうんですよね。
私たち料理人もそうなんですよ。
《修業していたレストランで先輩が言っていたから!!》と。
そのような料理人にお子さんが質問してきたときに答えを教える事ができないですよね。
さて、料理教室ではお子さんだけではなく主婦の皆さんや料理初心者の男性からこの《なんで?》《どうして?》の質問がどんどん来ます。
「普段、うちのやり方とは違うんだけど?なんでその調理法なの?」「本格的なイタリアンの食材だと子供が食べないから代用の食材ってありますか?」「いつもパスタを作る時失敗しちゃうんだけど、なんでですかね?」など。
お客様の質問で自分自身も当たり前にしていて考えた事がなかった、という気づきをいただく事が増えていきました。
料理教室を始めて、お客様とのやり取りで生まれたレシピや調理法もたくさん生まれました。
レストランのキッチンの中で一人で試作しているだけでは生まれなかったレシピです。
あと、日常の何気ない家族の話や旅行の話。旦那さんやお子さんに対する愚痴。(笑)それらの会話も料理やサービスのヒントになります。
私はこれらの料理はお客様と作ったという思いがあるので、作る時も特に大切に作ります。
カフェ・イル・コルジから料理教室イル・コルジになって思う事。
料理人は職人的な仕事。
確かに食材に向き合って《素材より素材らしく》をテーマに料理を作ります。
そのためにいろいろなレストランで修行をし、技術・知識・経験を身につけていく必要があります。死ぬまで勉強です。
ですが、極めようとすればするほど視野が狭くなる事があります。
すると新しい料理が思いつかないスランプに陥る事があります。
じゃあ、その狭くなった視野を広げるにはどうすればいいのか。
それは、原点に戻る事です。
つまり、誰のために料理を作るのか。
もちろんお客様ですよね。
お客様の喜ぶ料理を作る鍵は会話の中にあるんです。
それが狭くなった視野を広げるんです。
視野が広がると料理の世界は無限に広いんです。
広いからこそ自由で楽しいんです。
料理教室イル・コルジは《個人で作る料理人のレシピ》ではなく《お客様と作っていく料理教室のレシピ》を提案して行きます。
