電気が消えた日 | 乾燥日記

電気が消えた日

それは、なんの前触れもなくやってきた。

古代、
人間たちは日の出と共に目を覚まし、
日の入りと共に就寝した。

もう、戻れないと思っていた原子生活は、
驚くほど簡単に僕らを襲った。
いや、正確にいうと、
僕を、襲った。

毎日、どれだけ電気に頼っているのか、
本当によく分かる。
服を洗うのも、携帯電話を充電するのも、夜に明るくすごせるのも、電気のお陰だ。

満島ひかりをテレビで見られるのも、
仲里依紗のコラムを枕元で読めるのも、
麻生久美子のDVDを再生するのも。

そんな生活があっけなく終わり、
この世界から電気は消えてしまった。

とにかく朝起きても暗い部屋の中、
ランプを頼りに髭を剃る。
電気はなくとも、社会人はつづけなければならない。


電気のない世界でも、仕事は仕事だ。


それも、もう飽きてきた。
仕方ないから、電気代、払うことにする。