子供の頃のお話。その2 | 生田善子Blog

子供の頃のお話。その2

今思えば私の芝居人生はここから始まっていた気がする。

 

 

お芝居というのは不思議なもので、一件普段やっていることをやっているだけなので簡単に出来そうな気がしてしまう。

 

 

母に「舞台に出たい」と言い放った私は、その日からドラマを見ては女優さんの台詞を真似始めた。

 

 

この芝居というものの恐ろしいところは、

 

「あれ?思ったより上手く出来ないな…」

ではなく、

 

「あれ?私結構上手くない?才能あるかも」

と思ってしまうことである。

 

 

つまりまったく客観視が出来ていない。

 

ド下手くそなお芝居をしているにもかかわらず、本人はまったくそれに気づかず、なんだったらちょっと上手いと思っているのだ。

 

 

 

では、なぜそんなことが起きるのか。

 

 

 

まず、お芝居には明確に正解がない。

 

 

バレーボールならボールをレシーブ出来なければ、出来なかったというのがすぐにわかる。

 

サーブが入らなかった。

これもまた同じだ。

 

 

しかしお芝居はどうだろう。

 

特殊な役は別として、お芝居は普段私たちがやっていることばかり。

 

 

台詞を言う。

それは喋るということ。

怒る、泣く。

それもだいたいの人が自分の人生で経験したことがあるものだ。

 

 

お芝居は普段私たちが使っているものを使う。

自分の中の感情を動かす。

 

 

だから勘違いしやすい。

 

自分の感情を込めているから、出来ている、そう思ってしまう。

 

 

でも、大事なのは見ている人に伝わるのかどうかだ。

 

 

しかし、当時小学4年生だった私は当然そんなことを知ることも気づくこともなく自信に満ち溢れていた。

 

 

その頃の私は、可愛い格好で煌びやかな舞台に立ちたいだけの役者とも言えない子供。

 

 

そんな私が今役のために下まつ毛を全部抜くような人間になると誰が想像しただろう。

 

 

 

→続く