子供の頃のお話。その1
子供の頃のことを振り返ってみると、私は一人っ子にしては自分の思っていることをはっきり言えない子だった。
凄く欲しいものがあったとしても、ちょっと欲しそうにするくらいで「なんでなんでっ!買ってよ!」とか「買ってくれなきゃここを動かないっ!」なんて言った記憶もほとんどない。
小学校二年生の時、美人で素敵な上級生の先輩がソフトボールのクラブに入っていた。
その先輩からたまたま「一緒にやろうよ!」なんて誘われたものだから舞い上がってしまい絶対ソフトボールクラブに入ると決意した当時の私。
しかし、やはり母にはっきり言えず、「何かスポーツが習いたい…」とぼんやりした感じで伝えてみた。
その結果なぜかまったく興味のなかったバレーボールを習うことになったのだった。
今考えてみるとわけがわからない!
単純にソフトボールがやりたいと言えばよかったではないか!
当時の私が何を考えていたのかは私にもわからないが、とにかく何事にも大人の顔色を伺いあまりはっきり物を言えなかった。
そんな私が唯一はっきり言ったことがある。
それは小学四年生の時だった。
やっぱり憧れの先輩が地元の小学生だけのミュージカルに出ると聞き、私はその舞台を観に行った。
演目は劇団四季の『夢から醒めた夢』。
舞台を観たのは生まれて初めてだったが、私はひどく感動したのを今でもはっきりと覚えている。
帰った私はすぐ母に言った。
「今日観た舞台に私も出たい!」と。
→続く