今回の旅行は 盗難 食中毒に熱中症と

様々なトラブル回避に重点が置かれていた

色々に自信のない自分にふさわしいと

参加を決めたのだが

ひどく甘やかされた旅程だったとも言える

 

賑やかな車のクラクションを聞いたのも

バスやホテルの窓越しだった

ああそれでもただ一度

ホイアンのホテルで早朝に

鶏の声が聞こえた気がして窓を開けたら

昔 救急車のサイレンに反応して

飼い犬の遠吠えがリレーしていったように

コケコッコーが伝言されていったのを

しっかり聞いて楽しかった

 

交差点に押し寄せるバイクの大群を眺めたのも

一台のスクーターに

二人乗りは当たり前

子 父 子 母の四人がまたがる光景を

時々見かけたのもほぼ車窓越しだった

NHK特集の素材をテレビで見るのと

どんな違いがあるのだろうと

旅の意味を疑う時間も多かった

しかしバスの外を出歩く「力」の持ち合わせは

明らかに無いのだから仕方なかった

 

そんな中

ダナンからハノイに帰る飛行機でのこと

私の搭乗券では

お母さんと乳幼児と小学生の並びの

お母さんの席が私の席になっていた

彼女は私をシッターにしたろ~

とまで考えたのかわからないが

あっさりと本来の自分の席である

彼女の両親が座る並びに移ってしまった

おじいちゃんは慌てている様子だった

当然のことながら乳幼児は泣き喚いた

私は「おしん?~シッターなんて勘弁してよ~」と

CAに鬼の形相と英単語で席の交換を掛け合い

おじいちゃんの隣に落ち着いた

彼に話しかけられたが

ベトナム語と片言の英語では無理だった

降りる時になって

ニコニコ顔の彼に

二の腕をかなり強めにはたかれ

バイバイと激しく手を振られた

さっきはありがとな だと思いたかった

私も強めにはたき返せばよかったわ!

 

国の体制も違うし 難しいことはわからないが

日本人はもっと

人同士が直接に情をもって関わり合っていくほうが

元気になれる気がした