では、『生島ヒストリー21』です。



…ボクは英会話の本をひもとき、
「ホテル・チェックイン」の仕方を二度ほど口の中で練習しながら、カウンターに向かった。

たどたどしく英語をしゃべり始めたら、
「8ドル50セント、ツインのシングルユースよ」
という日本語が返ってきてびっくり。

ハワイはやっぱり、日本語で十分なのかしらね。



さて、部屋に入ったら、なんと、外見よりずっと素晴らしいではないか!

ボクは生まれてこの方二十歳になるまで、ホテルのベッドで寝たことなんて一度もなかった。

外国映画に出てくるスターのように、シューズをはいたままベッドに横たわってみる。


完全なプライバシー…

当時のボクにとってはゴージャス極まりない部屋。

窓を開けるとブルーのワイキキビーチが望める。


でも、精神状態はグレーもグレー。

刑務所にいるようなものだった。



すべてを完全にあきらめて、有り金全部はたいて、
ハワイでパーッと遊んで帰ったらどんなに気持ちが晴れるだろう、とも思ったりした。


ハワイに暗い気分は似合いません。

とはいいつつも、大風呂敷を広げて日本を飛び出した手前、
どの面下げてオメオメと日本へUターンできようか、という意地もある。