2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。
しかしながら、これから起きうる大きな自然災害(首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火)について本当の意味で防災意識を持っている人はどれほどいるだろうか。
富士山が噴火したらどうなるのか
富士山が噴火したらどうなるのか
富士山は300年以上も「眠り」続けている。だが、最高峰の活火山が目を覚ませば広範囲に被害をもたらすのは言うまでもない。
首都の治安を維持する警視庁は、大規模噴火への警戒心を隠さない。
「富士山がいつ『起きる』のかはわからないが、噴火して都市機能が集積した首都圏に降灰が2週間続き、国民生活や社会に大きな混乱が生じるとのシミュレーションがある」と危機感を募らせる。
降灰下でも警察職員が屋外での活動を継続できるようゴーグルやヘッドライトといった装備品の配備を進めている。
都は2023年5月に有識者を交えた「富士山噴火降灰対策検討会」を立ち上げ、降灰除去等に向けた具体的な検討に入った。
2023年7月、全国知事会議が開かれた山梨県の会場では、長崎幸太郎知事のもと、火山のある23都道県が課題の共有を行った。
では、富士山が噴火したら何が起こるのか。
富士山の防災対策は2000年から本格的に検討されてきた。富士山直下で低周波地震が多発したのがきっかけで、2001年7月に国と関係自治体が「富士山火山防災協議会」を設置。2004年から富士山周辺の住民にハザードマップが配布されている。
2021年3月に17年ぶりに改定されたハザードマップのポイントは、市街地に近い場所に過去の火口が複数認定されたこと、富士山北麓の青木ヶ原溶岩流を作ったマグマの体積が当初は「宝永噴火」と同程度だと見られていたが、この溶岩流を噴出した「貞観噴火」(864~866年)は2倍近くの13億立方メートルだったことがわかった点にある。
溶岩流の流出量が増えると、流下する距離が長く、速度も速くなることが考えられる。
火口ができる場所にもよるが、山梨・富士吉田市や静岡・富士宮市などでは噴火から2時間程度で溶岩流が到達する可能性があり、静岡・裾野市などでは12時間後には到達の可能性がある。
溶岩流が3時間以内に到達する可能性がある範囲の避難対象者は、前回のハザードマップの約1万6000人から11万6000人と7倍になった。2023年3月に静岡、山梨、神奈川3県などが策定した避難計画によると、避難対象地域や早期避難対象者数は拡大している。
宝永噴火と同等の爆発的噴火が起こった場合、火山灰は、富士山周辺で最大数メートル以上と想定され、静岡・御殿場市50センチ以上、神奈川県中部10~30センチ、東京都心でも2~10センチが降り積もる。
降灰の影響と対策を検討する内閣府のワーキンググループによると、首都圏への影響が最大となるケースでは除去が必要となる火山灰の量は、東日本大震災の際の瓦礫の10倍にあたる4.9億立方メートル。
降雨の場合、3センチほど積もると、二輪駆動車は走行が難しくなり、10センチ以上だと四輪駆動車でも動けなくなる。降灰中は視界不良などによって走行不能になる。
鉄道のレールに0.5ミリ以上火山灰が積もると、鉄道は運行停止を余儀なくされ、飛行機は微量でもエンジン内に火山灰を吸い込むと重大なトラブルが発生するおそれがあるため空港が閉鎖。降雨があれば火山灰は導電性を帯び、停電が発生し、火山灰がアンテナに付着すれば通信障害も発生する。
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