【砂上の楼閣】
なにもしないひとときを
選べるのは幸せだね。
誰の何の役にもたたないでも
何も生み出さないでも
愛されて存在してる。
どうにもこうにも、ここに結晶してる
この生きたからだ以外に
私を瞬間ごと留めておける器はないのだ。
畳に寝っ転がって
息を吸って吐いて
耳をすませて
目を閉じたりそっと開けたり
意識はクリアで
飛べそうだけど飛ばないで
ここにいる。だけ。
こういうひとときが
護られていることが幸せだと 思う。
やがては 留める力を天に還し
またねと手を振る時がくる。
がんばってみたことが全て
砂上の楼閣だとしても
濡れた砂に光るわたしは
やっぱり幸せなのだろう。
この大きな安心をくれるひとに
にっこり笑ってもらえたら
私はまた嬉しくなって
子どものように砂の城をつくる。