いつ死ぬかなんて
誰にもわからないけど、
生まれたらいつか死んでしまうことだけは
みんなわかって、生きている。
ひとは死んでしまったら
カラダを離れるから
病気も健康も
貯金も借金も、
高価な車も
お気に入りのネックレスも
スマホもお菓子もラケットも
その手に持っていけないよ。
あらゆる【手段】は
すべてここにお返しして
置いてく仕組み。
意識はなくなってもあるのなら
生きた記憶や想いは
いつまでも魂と共にあるだろうし
声なき声でのつながりも
変わらずあり続けるだろう。
でもね、
ここでしか、味わえないの。
懐かしい匂い
その声
癖
なみだ
眠たさ
触れた温度も、
踊ったとき
しなやかに連動する骨肉が
捉える重力や
プラムの果汁が口の中で
弾け出す味わいも、
花を愛でる時のふわっと香る風も、
この胸を儚くいつまでも
締め付ける小さな痛みも
そして
突き抜けていく悦びとか
嫉妬でぐちゃぐちゃになったような惨めさとか
溢れて止まらないワクワクも
腹から湧き立つような灼熱の怒りだって
ここでしか
味わえない
ここでしか
わからない
ここでしか
会えない
そんな 極上の体験を
やりにきたのね。