ほつれてきたのは その1(風の音が)
こんばんは
私のブログにお越し頂き、ありがとうございます。
五感六感センスアップコーディネーター&万葉集セラピストの
いくちゃん こと 幾島健司です。
万葉集には日本人の優れた感性の原点があります。
万葉集を使って五感・六感をセンスアップして、安心で楽しく生きるヒントをゲットしましょう。
本日は太陰太陽暦で4月2日です。
今日は24節季のひとつの「立夏」です。
暦の上では夏の始まりです。
新緑の季節で、九州では麦が穂を出し、北海道では馬鈴薯や豆の種まきが始まります。カエルが鳴きだすのもこの頃です。
暦は夏でも、体感は心地よい春。とってもややこしい時期です(笑)
さて、今日は月曜日。今週の万葉集をご紹介しますね。
風の音の 遠き我妹が 着せし衣
(かぜのとの とほきわぎもが きせしきぬ)
手元のくだり 紕ひ来にけり
(たもとのくだり まよひきにけり)
** 巻14 3453 詠み人知らず **
(現代語訳 :風の音のように 遙かな遠いところにいる妻が着せてくれた衣だけど 袖口のあたりがほつれてきたよなあ)
歌の現代語訳で、意味はスッと通ると思います。
風は、どんな遠いところから吹いてくるのか判らない
愛しい妻の存在が、その風とおなじくらい遠いところに離れて行ってしまった。
風の音はひょっとしたら妻の声。そんなふうに詠んだのかもしれません。
そして、その風の温度や肌触りに、妻を思い出していたのかもしれません。
さて、この歌は巻14に収められた歌で、いわゆる「東歌(あずまうた)」です。東国の人たちが詠んだ歌群で、素朴でストレートで訛りの入った歌がたくさんあります。
ある意味で、いちばん万葉集らしいと私は思っています。
そして、この歌の詠み手は「防人」という説があります。
なるほど、それならしっくりきますね。
故郷を遠く離れて、筑紫の辺境での防人の役目。
滞在が長くなってきたので、袖口の縦糸がほつれてきた。
そんなシチュエーションでしょうか。
この歌の中の「紕ひ来にけり」という言葉ですが、ほつれるという意味のようですね。
現代でも紕うと書いて「まよう」と読みます。意味は「迷う」に近い意味になります。
本来、袖のある部分にしっかり収まっていた糸が、ほつれたことにより、落ち着いた居場所がなくなって、迷っているように見える。
なんかそんな由来かなとフッと思いました。
ひょっとしたら迷っていたのは糸だけではなくて、詠み手の心の中にも迷いがあったのかも。。。。。。。。。
あ、長くなってきたので その2 に続きます。
ご紹介したこの歌を声に出して読んでみませんか
忘れていた素敵な何かを思い出すかもしれません!
ではでは、また~
今日も読んでいただいてありがとうございました