八日目の蝉 | いわき市台風被害掲示板★南相馬、浪江町、双葉町、錦、勿来等

八日目の蝉

 八日目の蝉というドラマの最終回が終わった。自分の愛人の妻が産んだ子を誘拐して、小さな島で育てる女の話。


 最終回、誘拐された娘が大人になって、その島を訪れる場面だった。


 その娘は、女が逮捕される時、幼子だった自分が警察官に確保され、女から引き離される時に、女がわめいた言葉がどうしても思い出せずにいた。


 そして、島で再会した漁師に、その時に何と叫んだかを聞いた。


 「待ってください。その子まだ朝ごはんを食べてないの」


 そういう言葉でした。


 その娘は、その言葉を聞いて、号泣してました。


 私も、この言葉には泣いてしまいました。


 なんか、この娘と女の気持ちがわかるんですよねえ。


 私が小学校三年生の時に、母が弟を連れて家出しまして。最初のうちは、父が仕事から早く帰ってきて夕ご飯を作ってくれたんですが、そのうちに、夕方になると家に電話がかかってきまして、「親戚のおじちゃんのうちに行って、ご飯を食べろ。おじちゃんちには電話してあるから」というのでした。それで、1つ上の姉と二人でおじちゃんちに行きまして、ご飯を食べさせてもらいました。


 とてもおなかが減っていて、一杯目のごはんをすぐに食べてしまったんですが、「おかわり」って言えなくてねえ。おばさんが「おかわりどうぞ」と言ってくれるんですが、「いいです。お腹いっぱい」って、お代わりしなかった記憶があります。姉と二人して。


 お風呂に入るとか、きれいなお洋服を着るとか、そういうものは、不十分でも生きていけますが、お腹が減るというのは、本当に心細いもので。


 この女も、「何としても、この子にごはんをたべさせなければ」という気持ちを持っていたということでしょうね。男親にはそれがどんなに大事なことかというのがわからないんですね。女は実の親ではなくても、そのことの大事さをわかっているんでしょうね。


 他人の子供を誘拐するなんていうことを正当化するつもりもないし、許せないことです。


 でも、この言葉を吐いたこの女には、何か、ほんの一万分の一寸ですが、共感できる部分があります。


 幼稚園の年少だった幼い弟を連れて家出した私の母も、この女と同じような心細さを持っていたかもしれません。


 私も、家内とはよく夫婦げんかをしますが、我が家の双子と家内には、こんな心細い思いはさせたくないなあと、そのためには、こっちが折れる時は折れないとなあと。つくづく思う今日この頃です。