いい人でいることの難しさ | いわき市台風被害掲示板★南相馬、浪江町、双葉町、錦、勿来等

いい人でいることの難しさ

 英会話学校の私のクラスメートと、家内のご近所の知り合いが、同一人物であることがひょんなことからわかった。

 古本屋に行ったら、家内が主婦と親しげに話し込んでいる。顔をみたら私のクラスメートのTさんだったので驚いた。


 Tさんは、お子さんの年齢から察するに私ら夫婦より少し年配だ。非常に感じのいい方で、いつも上品なほほえみを浮かべている。ただ、私は、ひそかに一つの疑念をもっていた。


 あんなにいい人でずっといられるものなのだろうか? と。


 Tさんは、いつも笑顔で、誰にでも愛想がいい。どんな図々しい人が話しかけてきても、丁寧に応対する。眉間にしわをよせているのを見たことがない。


 私は、いい機会だったので、家内に聞いてみた。「Tさんって、お前の前でもいい人なの?」と。家内の返事は、「すごくいい人。ご近所でも評判のいい人」というものだった。


 私の疑問はさらに深くなった。そんなに年がら年中、二十四時間、いい人でいられるものなのだろうか?


 心理学の本を読んでいると「いい人」のことが出てくる。大概、いい人の周囲には、ハイエナのように意地悪な人が集まり、いい人の善意を食い物にする。だから、いい人には神経症の人が多いのだそうだ。


 私は、思い切ってTさんに聞いてみた。「Tさんは、いつもいい人だけど、そうしていると、ハイエナのような人に食い物にされている自分を感じたりしないですか?」と。


 そしたら、Tさんは、「実は、そうなのよ!」と信じられないことを告白し始めた。( つづく )