愛燦々
サンディエゴまで車で出張しました。深夜に帰ってきたのですが、CDケースからたまたま抜き取った一枚のCDのお陰で、2時間半のドライブは、楽しいものになりました。
CDは「小椋桂 コンプリートベスト-夢に向かって-」というアルバムです。
中でも「愛燦々」は、リピートにして何度も聞いてしまいました。
この歌の「思いどおりにならない夢を 失くしたりして」という部分になると、涙が出そうになります。
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「いつか海外で取材するような仕事がしたい」と考えて、私が地道に英会話教室に通っていたことは、前に書きました。
私が英会話を始めた頃は、我が家に双子が生まれて、その世話が大変で、海外駐在なんて、夢のまた夢でした。
双子だったこともあって、子供たちに様々な問題が生じたし、子供を病院に連れて行くことが多く、主治医にしか治療できないようなものが多かったためです。
子供の面倒を見ながら、「いつか、夢がかなえばいいなあ」と思いながら、英語の勉強をしていました。
その成果から、子供たちが小学校に入った頃には、英会話教室でも上級の方になりました。
子供の病院通いも落ち着いて、自分の英語の力もついて、やっと、「これなら海外駐在の希望を会社に出せる」と思える状況になりました。
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私は、思い切って会社に希望を出しました。
ところが、帰ってきた返事は、「お前はもう、年次が行き過ぎているから、海外には出せない」というものでした。私は、大変なショックを受けました。大学の受験勉強でさえ1年しかしなかった私が、英語に関しては7年も8年も一生懸命勉強したのです。それが、「もう歳だから」という理由で・・・・・。
ただ、私があまりに落胆したのを見かねた当時の部長が、一か月後「それなら」と、一つのチャンスをくれました。「駐在は無理だが、三か月の長期海外出張をさせてやる。そこで、お前の夢をかなえて来い」と言ってくれたのです。
私は英会話教室で学んだ英語のすべてを、この出張にぶつけました。
ゴルフのアニカ・ソレンスタムに単独インタビューしたのを始め、NBAのマイケル・ジョーダンに直撃(これは広報に制止されて、他紙との競合になりましたが)。さらに、大リーグのバリー・ボンズに単独インタビュー、NBAの中国人選手ヤオミンに単独インタビュー。考えられる北米のスーパースターすべてへの直撃を試み、そのほとんどを実現しました。ほとんど意地だけで動いていました。
出張は、その後、三か月の追加され、エンジン全開だった私は、六か月の出張を終えて秋にヘトヘトになって帰ってきました。
帰国した私を、部長がニコニコしながら迎えてくれていました。そして、信じられないことを言われたのでした。
「役員会が、お前を海外出しても良い、と決めたよ。だから、2,3年、アメリカに行って来い」。
私の夢がかなった瞬間でした。私は心の中で号泣していました。(会社の喫茶店だったので、実際には泣くわけにはいきませんでしたが)
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「 わずかばかりの運の悪さを 恨んだりして 」「 思いどおりにならない夢を 失くしたりして 」「 心密かな嬉し涙を 流したりして 」
この歌を聴いていると、私の辛かった10年間が映画のように思い出されます。
出産のために会社を辞め、「子育てが終わったらもう一度働きたい。その日のために」と子育ての合間にコツコツと勉強していらっしゃる女性の方は、多いのではないでしょうか。
夢は捨てないで、いつか叶えてくださいね。きっと、うれし涙を流せる日は来ると思いますよ。
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愛 燦 々
雨 潸々(さんさん)と この身に落ちて
わずかばかりの運の悪さを 恨んだりして
人は哀しい 哀しいものですね
それでも過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね
風 散々(さんざん)と この身に荒れて
思いどおりにならない夢を 失くしたりして
人はかよわい かよわいものですね
それでも未来達は 人待ち顔して微笑む
人生って 嬉しいものですね
愛 燦々(さんさん)と この身に降って
心密かな嬉し涙を 流したりして
人はかわいい かわいいものですね
ああ 過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね
ああ 未来達は 人待ち顔して微笑む
人生って 嬉しいものですね