去る12月16日、最高裁大法廷は、現行の夫婦同氏(強制)制が「合憲」であると判示したので、一弁護士として簡単にコメントを残したいと思う。(同日出された再婚禁止期間の判決は、違憲なのは当然だから特段コメントしないが、100日の期間を合憲とした点は、非常に疑問が残る。)
1. この判決について、多数意見を一読したが、「合憲」という結論を出したこと自体、完全に時代遅れとしか言いようがないと思う。
2. 今回の訴訟は、「選択的夫婦別姓」の是非が問われていると理解しているが、婚姻当事者が、夫婦別姓とするか又は夫婦同氏とするかについて、自由に決められないという現行法制は、憲法13条、憲法24条に反することは明らかだ、と私は考える。実際、夫婦同氏を強制されることにより(95%は女性が男性の氏に変更するという実態があるとされる。)、様々な実際上及び精神上の不利益を被っていることが分かっており、このことは、大法廷判決の多数意見においても一応これに配慮した判示がなされている(そのような判示を行わざるを得なかった)ことからも明らかと思う。
3. 子供のことを考えた場合、夫婦同氏とすることが大切だと主張する人がいるが、この意見は何を根拠にしているのか。子供が親と同氏でなければ不幸なのか、何か社会的に不利益な取扱を受けるのか。この意見を裏付ける具体的な根拠を私はついぞ知らないし、仮にそのような不利益を子供が受けるのであれば、そのような社会構造自体を変えなければならないと思う(諸外国は選択的夫婦別姓又は完全夫婦別姓制度が定着しているのだから、それで子供が不幸になったという事例が報告されてでもいるのか。)。要は、「家制度」という旧態依然とした考えが、未だに抜けきらないということであろうと思う。
4. また、そもそも私が疑問視するのは、最高裁大法廷の構成である。今回、女性判事3人と男性判事2名(いずれも弁護士出身)が違憲であるという反対意見を出している。仮に、女性判事が大法廷の半数を占めていれば、今回違憲判決が下された可能性は極めて高いと思う。今回の最高裁大法廷の構成自体が、(先進国で世界から2番目に低い[1番低いのは韓国])日本のgenderレベルを如実に物語っているように思う。
5. さらに、そもそものそもそもとして、国会は何をしているのか。再婚禁止期間にしても、長年、明らかに合理性が欠けている制度とされながら、ここまで改正が放置されてきたのであり、全く怠慢としか言いようがない。また、夫婦別姓にしても、まずは国会が率先してやるべきことで、今回の判決を受けて「妥当な判決」と宣っている場合ではない。
6. とはいえ、今回の判決とは関係がないが、かの「安保法制」という立憲主義の根本を破壊する法律を、多数の反対意見がある中で押し切った国会は、もはや死に体であり、私は、「大政翼賛会」に近い今の国会(議員)には何も期待していない。それゆえに、今回、司法が果敢にチャレンジして欲しかったのである。誠に残念である。
(私は、今回の訴訟の代理人等には一切関わりがない。念のため。)
以上