「立候補しない」を選べない共産党 | 待機行動違反なブログ

「立候補しない」を選べない共産党

 今日「出直し」千葉市長選が行われ、民主党ほか推薦で前市議の熊谷俊人氏(31)が自民・公明推薦で元副市長の林孝二郎氏(63)、共産公認で党県委員の結城房江氏(65)の2人を破って勝利した。これで民主党は名古屋市、さいたま市に続いて政令市3連勝。都議選、総選挙に弾みをつける結果になった。

 これだけ見るとよくある自公VS民主VS共産の構図だが、この構図になるまでの過程が問題。特に、なぜ共産党が結城氏を擁立したか?が議論の対象になる。

<出直しだが予定通り>

 まず、今回の選挙は前の鶴岡市長が不祥事で辞任したので「出直し」ではある。しかし、日程面ではもとから6月14日で確定していた。その中で自公は副市長の林氏と決めた。さらに、民主党に社民党、共産党ほかが一致団結して熊谷氏を擁立し、2人による勝負となる手筈だった。告示5日前までは。

<結城氏はもう出る気なしだったのに>

 この空気が突如おかしくなったのが告示5日前・5月26日。共産党が「公認で」結城氏を擁立すると決めた。ではこの結城氏、どんな経歴なのかを調べてみると

1975年~2003年:千葉市議

2003年:県議選(千葉市美浜区選挙区)に鞍替えするも落選

2005年:市長選に共産党「推薦」で立候補するも落選

2007年:県議選(同選挙区)落選

 28年の長期にわたり千葉市議を勤めていたが、何らかの指示で03年に県議選への鞍替えを指示された。しかしこの選挙区は2人区。しかも自民・民主で分け合う空気。駄目押しに地域政党の候補もいるという最悪の選挙区だ。これでは勝てない。この後も市長選、県議選と勝ち目の極めて薄い選挙で負けている。

 さて、ここで05年と今回の違いは何か?「推薦」と「公認」だ。05年「推薦」だったのが今回「公認」。共産党・首長選で推薦と公認は全然違う。「推薦」の場合は曲がりなりにも支持団体の支援を受けて立候補する場合に用いる。対して、公認の場合支持団体の支援はなく、口悪く書くと「本部指示」で立候補した場合に用いているように思える。必然的に、公認の方が「当て馬」の側面が強くなる。

<政治FC・日本共産党>

 なぜ「公認」かは前述の「熊谷氏を推薦する方向で決めた」から明らかだろう。今回の場合、千葉市の幹部は熊谷氏で勝ちに行くべきと言う思想だった。しかし、本部が何らかの圧力をかけ、強引に立てさせた。結城氏も本部指示となると逆らえない。かくして、結城氏は立候補せざるを得ない状況に追い込まれた。

 この現象をどう表現するか。私は「日本共産党=政治フランチャイズ」と揶揄したくなる。地域性無視して1つの政策をどの地域でも訴える、中央の指示は絶対に逆らえない。ある意味フランチャイズよりもえぐい指示を何食わぬ顔で言う組織なのである。

 今回の選挙でも、民主党色が強すぎている点だけで立候補指示。これが次の総選挙に本当にプラスの効果を与えるのか?

<捨てる度胸を>

 今の共産党の能力だと自公VS民主VS共産の1着勝負は基本的にやらない方が望ましい状況になっている。もちろん、自公民VS共産の構図なら勝敗は別にして戦う余地はあるだろうが。その中で本来戦える多人区で取りこぼしを起こしているというのであればそれはなくすべき行為である。今の空気は決して共産党に悪い空気ではない。むしろいい空気。それを勝てない選挙に出ることで壊しているとすれば非常に勿体ないことだ。