何の因果か行政法に携わることを生業としてきたので、司法試験予備試験の短答式の解説を試みようと思う。

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2019(令和1)年第13問:ア

【カテゴリー】行政上の法律関係

【前提】最高裁判所の判例に照らして

 

【問題】

国家公務員の災害補償について国家公務員法や国家公務員災害補償法等に詳細な定めが置かれていても、国が国家公務員に対して、安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負っているものと解すべきである
 

【解説】

「国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたつて、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負つているものと解すべき」。

 

「安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入つた当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであつて、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はな」い。

 

【キーワード】信義則、安全配慮義務、損害賠償請求

 

【テキスト】

●宇賀Ⅱ523~525頁

●サクハシ29、31頁

●リークエ4、42頁

●中原基本29頁

●興津69頁

 

【判例集】

○百選Ⅰ-22(46頁)

○判例集Ⅰ-28(64頁)、Ⅰ-41(86頁)

○ノート2-3(11頁)

○ケース242頁

○中原演習41頁

 

事件名:自衛隊八戸駐屯地事件

判例:最判昭和50年2月25日

 

webライター・沈潜(ちんせん、Tingseng)