346-久しぶりのサンフランシスコ 1 | ikoma-gun(フリムン徳さん)のブログ

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『久しぶりのサンフランシスコ』  
 
 アメリカ人がアメリカで一番行きたい異国情緒のある街、

サンフランシスコへ久しぶりに行った。

何年ぶりだろうか。

サンフランシスコにある日本領事館へ、

在留証明書をもらうためである。
 


 朝、五時ちょうどに車で家を出た。

まだ外は真っ暗である。

朝の真っ暗闇に家を出ることは、

夜中の真っ暗闇に出るのとは、

また気分が違うような気がする。

もう少しで、白々と夜が明ける、という希望感みたい

なのがあるから、真っ暗闇でも、心が弾むような

真っ暗闇の感がする。

唄の文句にあるような“白夜が明ける”と

いう言葉とは逆で”闇夜が明ける”夜明け前の空の白々さは、

私の車だけが走るハイウェイで、

「この神々しい景色を見ているのは俺だけかも知れない」

と思うと、心が威張っているようでもある。
 
 

モントレーの山奥の私の家から、ハイウェイ18の

暗闇の森と牧場の中を走りながら、フリーウェイ101 号線まで30分。

この101号線に乗ると、”今から旅に出るんだ”と

いう旅情を感じる気分になる。

30 分で旅に出る気分になるとはまんざらでもない。

まっすぐ北へ走れば2時間半でサンフランシスコに着く。

途中のサンノゼで、車が混むので、サンノゼの入り口まで

101 線で走りる。そこから、85線に入り、そして、

280線に入って、サンフランシスコの手前の

南サンフランシスコで下りる。

昔一年ほど住んでいた町でもある。

南サンフランシスコのバート(地下鉄)の駅の

無料駐車場に車を停めて、バートに乗ってサンフランシスコへ行く。

20分ほどで行ける。
 


 サンフランシスコの中心街まで、

車で行かないのは私なりの理由がある。

車が多くて混み合う、坂の多いサンフランシスコの街は

アメリカの田舎者の私には運転が怖い。

それと、狭いサンフランシスコの街は駐車料金が高い。

領事館で用事を済ますことになれば駐車料金が、

最低でも38ドル(3800円)はかかる。

だから、手前の南サンフランシスコで降りて

地下鉄で行くことにしている。

 

 バート(地下鉄)に乗る時はいつも困る。

車社会のアメリカに35年以上も住んでいるから、

電車なんて、サンフランシスコで、数回しか乗ったことがない。

走る電車を見るのも隣町のパソロブレスへ買い物に聞く時、

フリーウェイの横を走る電車を2ヶ月か3ヶ月に

一回見るだけである。

自動切符販売機で地下鉄の乗車券を買うことなんか

出来る筈がない。

南サンフランシスコのバート駅の東口には両側二箇所に

切符自動販売機が二台ずつ置いてある。

何年か前、自動販売機の前にしばらく立ち、

買う人を見つけて買ってもらった。

皆さん、定期券の人が多いらしく、

切符を買う人を待つのは時間がかかる。

今回は、運良く、改札口の傍に警備員らしき男の人が

おったので、“助けてください、切符が買えないのです”と、

言ったらすぐ出てきて助けてくれた。

こういう時は私はすぐ嘘をつく。

”山の中に住んでいるので、地下鉄を乗るのは

初めてなんですよ”と値打ちをつける。嘘も方便です。
 
 

アメリカの山の中に住んでいて、まともに英語も

できない70歳の老人が、アメリカの大都会に出て、

地下鉄の自動切符販売機で切符を買えるはずがないのは

当たり前に近い事、と心に弱く言い訳をしながら、自分を慰める。

どうもこの自動販売機は10ドル札以下の紙幣

しか使えないらしい。まず、20ドル札の紙幣を両替機に入れる、

5ドル札が四枚出てきた。表示で自分の行き先と料金を確かめ、

5ドル札を2枚入れ、廻ってくる行く先のボタンを押すと、

お釣りが下に、上に切符が出てきた。 

サンフランシスコのダウンタウンにある日本領事館の近くの駅

(エンバーカデロ)まで往復切符が7ドルちょっとである。

 

 エスカレーターで地下のホームに下りたら、人はちらほら。

朝8時半頃だったから、通勤時間を過ぎていたのだろう。

電車に乗った途端に陰気な気持ちになった。

地下鉄だから薄暗い所為もあるが、それだけではない。

電車の椅子の所為である。日本の電車の椅子は新品、

サンフランシスコの椅子は中古品? 

薄汚いブルーの色が汚れで染まった感じである。

乗客も中古品の服を着た中古品の人間に見える? 

どうしてこうも日本の電車とサンフランシスコの電車の

清潔感は違うのだろうかと。

そして、また、日本の電車の潔感はどこから来るのだろうか。

世界中の人種の混ざり合ったサンフランシスコの街には

清潔感と言う言葉は似合わないような気がする。
 


 椅子に座るや、携帯を眺める人、本を読む人になる。

皆さん、「車内で話をしてはいけません」と

いう法律があるみたいで、口を真一文字みたいにつぐんでいる。

日本の通勤電車の風景を思い出した。

他人と目を合わせたくない孤独な人間になるあの風景。

私が去年10月、日本に帰国した時、突然危篤になり、

二日間の天国旅行に行き、三途の川に立ち、

私を勢ぞろいして待っていた、アノ優しさいっぱい、

笑顔いっぱいのウヤフジ(ご先祖)達とはえらい違いの風景である。