104-フリムン徳さんのパンク「アメリカの田舎の葬式」1 | ikoma-gun(フリムン徳さん)のブログ

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14   「 アメリカの田舎の葬式」 


                     


 カリフォニア・モントレーの南部、山奥の小さな村。

村を東西の貫くただ1本のハイウェイ、ホロン通りに添いに、

1軒ぽつんと、寂しそうに立つ屋根のとんがった小さな教会。

木造の古い建物である。入口のドアも手製の古びたドアである。

中に入ると古いアメリカ杉(レッドウッドゥ)の臭い匂いが

立ち込めている。日本の真新しいヒノキのいい匂いとはえらい

違いである。壁も天井も床もレッドウッドゥ特有の古い赤茶色に

包まれた寂しげな空間。中央にある牧師の説教台も古めかしく、

小さい、板を打ちつけた釘の頭が少し飛び出て見える。

元大工のフリムン徳さんには建物の材料や釘の種類まで気になる。

大工をすでにやめて7年もなるのに、木造物をみる目と別嬪さんを

見る目は死ぬまで衰えれそうにない。後の1段上がったところの

テーブルに小さな額縁に収まった写真が飾ってある。

その両脇にそれぞれ3本のひまわりの花を挿した小さな瓶と

3本のろうそく。壁のすき間から入ってくる風でろうそくの

炎が小さく揺れている。ただそれだけである。

遺骨も遺体もない。これがフリムン徳さんの親友バブ(アメリカ人)の

葬式の祭壇である。


 バブが9月19日に死んだ。行年82歳。妻のアルビラが死んでから

丸2年になる。アルビラに呼ばれたのだろうか。

死人は3年以内に身内の誰かを呼ぶと日本で聞いたことがある。

バブはアルビラの死後、娘の住むモンターナ州に家を買い、

娘夫婦の世話になっていた。

葬式は友人の多いカリフォルニア・ラックウッドゥに戻って、

生前メンバーであったこの教会でやることになった。

モンターナからは車で2日間の行程である。


続く