10代、20代、恋にお洒落にと忙しい世代。
私の記憶は仕事ばかりでした。
連絡のない父親、体調を崩しながらも働く母、精神疾患を持つ兄2人と姉、弟の教育費、度重なる引越し(ご近所にご迷惑をかけるため)、そのうち空気にもお金がかかるんじゃないかと思うほど、働いても楽になることはなく、生きてる意味がわからない時でした。

叔母が病にかかりました。
母の弟嫁なのですが、とある新興宗教の幹部にまでなっていました。

母の弟は公務員で、勤続年数も長く、とても裕福なはずなのに、その生活は質素なものでした。

叔母の病はすでに手遅れの状態。
「結婚して、初めて女は一人前なのよ」と、責めるようにまくし立ててた面影はなく、お見舞いに行くと「わざわざありがとう」と穏やかな笑顔で接してくれてました。

ある日、叔母の病院から帰った母が落ち込んでいます。
聞くと、薬で朦朧としながら「お義姉さん、お金が…お金が…」と泣いて訴えてきたそうです。
「お金がどうしたの?」と聞いても泣くばかり。
「大丈夫だから。心配ないから。」
と言うと、「すみません」と言って寝たそうです。

その日から意識が無くなり、寝たきりになりました。

数日後、母が仕事帰りに病院に寄ると、スーツ姿の見知らぬ男性が3人、母の弟と話しています。
母の弟の話によると、叔母が所属している宗教団体の方で、今からでも聖地(海外)に行き、教祖(?)の元へ行けば治るかもしれないと。
300万必要だと言われたと。

母は猛反対しました。
母の弟は迷っています。

最終決断は、実の母親に任せようとなり聞きにいくと、「会ったこともない人に預けられない。やめて欲しい」と言われ、やめることになりました。

それから数日後、叔母は他界しました。

母の弟が、我が家に借金があること、海外赴任で日本にいない時に、日本の口座から定期的にお金が引き出されていたことを知ったのは、それから1ヶ月後でした。